出会いを増やす前に、人を育てる社会へ
「ご縁」は、一人では結べない。だから人生は面白い
「ご縁」は、一人では結べない。だから人生は面白い
「いいご縁がないんです」
結婚の相談を長くやっていると、こんな言葉をよく聞きます。
でも最近、私はこう思うんです。
そもそも「縁」って、何だろう?
結婚だけではありません。
仕事も、友人も、家族も、人生を変えるような出会いも、考えてみれば全部「ご縁」です。
そして不思議なことに、ご縁だけは、どんなに一人で頑張っても完成させることができません。
なぜでしょうか。
少し一緒に考えてみませんか。
少し一緒に考えてみませんか。
「因」だけでは、花は咲かない
仏教には「因縁」という考え方があります。
「因」は、自分の中にあるもの。
想い、意思、努力、準備、行動。
いわば「種」です。
そして「縁」は、その種を育ててくれるもの。
人との出会い、環境、タイミング、誰かの言葉や助け。
いわば「土」「水」「太陽」です。
どれだけ素晴らしい種を持っていても、机の上に置いているだけでは花は咲きません。
土に出会い、水をもらい、太陽の光を浴びる。
そこで初めて芽が出る。
人生も同じではないでしょうか。
自分が「因」をつくり、人や社会との「縁」に出会い、その二つが重なって「果」が生まれる。
だから、自分を磨くことは大切です。
でも、自分を磨くだけでも完成しない。
人と出会い、人と関わり、ときには人に助けられ、自分も誰かを助けながら、人生は形になっていくのだと思います。
一本の糸では、布にならない
一本の糸では、布にならない
私は「縁」というものを考えるとき、「糸」を思い浮かべます。
一本の糸も大切です。
でも一本だけでは、布にはなりません。
別の糸と交わり、重なり、結ばれることで、一枚の布になっていく。
人間も同じです。
「俺は一人で生きてきた」
そう思っていても、本当にそうでしょうか。
親がいて、先祖がいて、先生がいて、友達がいて、仕事で出会った人がいて、ときには自分を困らせた人もいる。
考えてみれば、今の自分は数え切れないほどの人との関わりによってできています。
良い出会いだけが「ご縁」ではないと私は思っています。
嫌な出会いもある。
失敗する縁もある。
別れる縁もある。
痛い目に遭わせてくれる縁だってある。
でも後になって振り返ると、
「あの人に出会ったから、自分は変わった」
「あの出来事があったから、今がある」
と思えることがあります。
そう考えると、人生には無駄なご縁など、本当はないのかもしれません。
「いい人がいない」の前に考えてみたいこと
これは結婚にも、そのまま当てはまります。
「いい人がいない」
「自分に合う人がいない」
「なかなかご縁に恵まれない」
そんなとき、相手ばかりを探してしまいがちです。
でも、ご縁は相手だけがつくるものではありません。
でも、ご縁は相手だけがつくるものではありません。
自分という「因」と、相手という「縁」が出会って、一つの関係を育てていくものです。
だから私は、結婚したい人に「条件のいい人を探しましょう」だけでは足りないと思っています。
自分は、人の話を聞けているだろうか。
相手を思いやれているだろうか。
気遣い、気くばりができているだろうか。
「ありがとう」と言えているだろうか。
自分の思い通りにならないとき、相手を責める前に自分を振り返れているだろうか。
ご縁を求めるということは、同時に、ご縁を受け取れる自分をつくることでもあると思うのです。
ご縁は「支配するもの」ではなく「育てるもの」
昔から「袖振り合うも多生の縁」と言います。
ほんの小さな出会いでさえ、何らかの縁によるものだという教えです。
人生には、自分では計画できない出会いがあります。
予定していなかった人と出会う。
たまたま聞いた一言で人生が変わる。
失敗したから別の道が開く。
だから面白い。
ところが、自分の思い通りにしようとする気持ちが強くなりすぎると、せっかく目の前に来た縁まで見えなくなることがあります。
条件、損得、好き嫌い、見栄、体裁。
それだけで人を見ていたら、本当に大切なご縁を逃してしまうかもしれません。
必要なのは、自分をなくすことではありません。
自分を大切にしながら、相手も大切にする。
私はそこに、
「愛と誠と調和」
が必要なのだと思っています。
「ご縁」は、一人では完成しない
縁とは、
自分という「点」と、誰かという「点」が出会って、初めて生まれる「線」なのではないでしょうか。
一人では線は引けません。
だからこそ、人間は人間によって磨かれる。
人に傷つくこともあるけれど、人によって救われることもある。
そして自分自身もまた、誰かの人生にとっての「縁」になっています。
ここが大切です。
「いいご縁に出会いたい」
と思うだけではなく、
「自分は、誰かにとってどんなご縁になれるだろう?」
と考えてみる。
この問いを持つだけで、人との接し方が少し変わってくるのではないでしょうか。
思いやりを持つ。
愛と誠と調和を大切にする。
気遣い、気くばりをする。
そして、反省と感謝を忘れない。
そんな人のところには、また新しい縁がつながっていく。
結婚も、仕事も、人生も、
「自分一人で何とかするもの」ではなく、「ご縁と一緒につくっていくもの」。
私は長年、人と人を結ぶ仕事をしてきて、そんなことを感じています。
あなたの目の前にも、すでに大切なご縁があるかもしれません。
さて――
あなたは今日、目の前のご縁を大切にできていますか?
そして、
あなた自身は、誰かにとって「出会えてよかった」と思ってもらえる人になっていますか?
でも、ご縁は相手だけがつくるものではありません。
ご縁について、一緒に考えてみませんか。
魂学校 校長溝端勇二



