「読解ロジック」問題の答
<教室だより6月号より>(塾生の保護者向けの表現になっています。ご了承ください。)
もう10年以上前になるでしょうか。篠ノ井の図書館で一冊の本と出会いました。ちょっと中身を読んだだけで、まさに我が意を得たりの内容。あっという間に上下巻を読み終えました。タイトルは「ごまかし勉強」(藤澤伸介著)。その後買い求めて、今は待合室の本棚にあります。
「ごまかし勉強」とは何か...。簡単に言えば、考えるのではなく覚える勉強です。テストのために必死で覚えて、終わればあっさり忘れてしまうという勉強ですね...。当塾の指導方針の根本は、本物の学力を育むことであり、それは言い換えれば論理的思考力、言語力、洞察力などを鍛えることです。とりあえず結果が出ればいいという「ごまかし勉強」とは対極に位置する勉強法と言っていいでしょう。4月号でも書きましたが、目先のテストの点を上げることより、本質を理解させて揺るぎない実力を培うこと、結果として総合テストでいい成績を残せることを目指しているのです。
一般の塾とは異なる面の多いコンセプトなので、本人はもちろん、保護者の方の理解も欠かせません。この教室だよりでも個別面談でも、常に「ごまかし勉強」を戒め、当塾の指導方針を徹底してきたつもりです。それでもまだ、私の真意が十分に伝わっているとは感じていません。すぐに正解を知りたがる生徒、定期テストの結果だけに一喜一憂される親御さんはまだまだ多いように思います。
先日、新中1の生徒が、初めてのテスト(中間テスト)に備えて塾で勉強していました。学校のワークで地理の勉強です。定期テストは範囲が決まっていますから、教科書やワークの該当箇所をきちんと勉強していれば、かなりの点は取れますね。言い方を変えれば、その範囲のことを丸覚えしても点は取れるということです。
彼の勉強法を見ていると、まず解いて、答え合わせをして、間違った所は赤で直して...。それで次の教科に移ろうとしていたので、私が突っ込みを入れました。この問題は、なぜあなたの答えだと間違いで、正解はこうなるのか...?彼はきょとんとして答えられません。念のため確認してみると、根本から原理を間違って覚えています。彼の考え方では、何回解いても必然的に間違った答になるはずです。そこを改善しなければ根本的な解決になりません。ところが彼は、自分の考え方が間違っているとは思っていません。なぜ正解はこうなのか、改めて聞くと、「だって...」と解答書を示しました。よくわからないけれど、正解がこうと書いてあるからとりあえず覚えておこうというわけです。これでは全く同じ問題は解けても、数値などの条件が少しでも変わったらアウトですね...。「ごまかし勉強」の典型的な一例です。中1の最初のテストからこれが勉強だと思われては後々が大変です。彼には一喝して正しい勉強法を諭しました。忠告を素直に受け入れてくれることを期待しています。
繰り返しますが、範囲の定まっているテストなら、その範囲のことを丸暗記すればとりあえずの点数は取れます。しかし、そんな勉強を繰り返していては決して実力は養われません。覚えるより理解することを心がけてください。間違った所は徹底的に原因を追及する、それでもわからなければ調べたり質問したりする...。こう書いてあるからとかこう言われたからではなく、自分が本当に納得できるまで食い下がることです。
最後に保護者の方にお願いです。ここまで書いたことにご賛同いただけたなら、どうか当塾の指導方針を信頼してお任せください。親御さんに少しでも不信感があると子どもは絶対に伸びません。ご理解とご協力を心からお願いいたします。