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人工関節手術支援ロボットを導入した手術と豊富な経験を生かしたスポーツ外来で患者を笑顔へと導く

人工関節手術支援ロボットを導入した整形外科手術のプロ

小島岳史

小島岳史 こじまたけし
小島岳史 こじまたけし

#chapter1

アクセルを踏み間違えても自動でブレーキが利く、この安全性の向上こそが「Mako」の強み

 2021年11月より、人工関節手術支援ロボット「Mako(メイコー)」を導入した整形外科専門病院「医療法人社団橘会 橘病院」。副院長で整形外科専門医の小島岳史さんは、Makoのアシストを受けて手術に臨んだ感想を「例えるならば、30年前のマニュアル車と最新の自動運転車くらいの違いがあります。誰もがF1レーサーになれるというのは言い過ぎかもしれませんが、キャリア豊富な医師の技術を凌駕するくらいの手応えがありますね」と話します。

 Makoのアシストの下で行われるのは、損傷した関節を取り除いて人工の関節へと置き換える人工関節置換術。「当院では、ひざに水がたまってしまう変形性膝関節症や、変形性股関節症の患者さんが大多数を占めます。ほかに関節リウマチも年に数回、まれに骨頭壊死の手術も行います」と説明する小島さん。

 Makoを「人間の能力の限界をサポートしてくれるロボット」と評し、その最大の特徴を「手術の安全性の向上」と指摘します。

 「仮に私たちが力を加えても、設定した範囲を超えることなくロボットアームが停止します。人間が手を動かす以上起こりうる問題をカバーしてくれるのです」

 アクセルを踏み間違えても自動でブレーキが利く、この安全性こそがMakoの強みと言えるでしょう。

 「Makoを使って行われる人工股関節および人工膝関節の全置換術には保険が適用されます。当院のモットーは患者さんの笑顔。『痛みを取り除いて元気に歩きたい』という意思さえあれば、年齢を問わずに手術をいたします」

#chapter2

真に安全な手術を実現していくために、医師と医療機器メーカーが一体になって手術に臨む

 小島さんが「大工仕事」に例えるように、人工関節置換術は電動ノコギリや骨を掘削するリーマーといった工具を用いる手仕事であり力仕事。その指針となるのが手術の設計図です。

 「従来のレントゲン写真をもとにした2D(平面)の設計図ですと、図面通りに仕上げても実際には誤差が出ないとも限りませんでした。Makoならより精度の高い3D(立体)で設計図を書けるので、こうした可能性を排除できます」

 そして、この3Dの設計図と連動して動くのがロボットアームです。

 「ロボットアーム越しに手を動かしていくと、あらかじめ設計図上で設定した箇所でアームが止まります。そこでボタンを押せば、システムがアシストするままに骨を切ったり削ったり、人工関節を設置することができるのです」

 1ミリでも手元がずれれば、近くの血管を裂いてしまう危険性もある整形外科手術。「両手でしっかり握っても、振動で結構ぶれる」という電動ノコギリですが、Makoのサポートがあれば「ぶれることがありませんし、腕も疲れません」と小島さん。

 一方で「安全装備頼りでは、真に安全な手術にはなりません。医師として見るべきことは見ることが大前提です」とも語ります。また安全面の観点で言えば、Makoを使った手術には開発・製造元である医療機器メーカー「ストライカー」社の社員が必ず立ち会うのも心強い点です。

 「社員の方と相談しながら進めます。大工さんが家を建てるときに、設計士さんが隣にいるような安心感がありますね」

小島岳史 こじまたけし

#chapter3

復帰に向けて最善を尽くすことがスポーツドクターの使命。病院でできることを全力でサポート

 整形外科手術を年に150〜200件ほどこなす小島さんが、心身のリフレッシュに毎日続けているのが大学生時代に出会い魅了されたサーフィンです。

 「歯磨きみたいなもので、やらないと気持ちが悪い。『こんな寒い日に朝からよく行くね』なんて言われますが、『暑かろうが寒かろうが歯磨きはするでしょ』って反論しています」と笑みを見せます。

 高校時代まで打ち込んだサッカーに「ドクターという立場で関わりたい」という思いから整形外科専門医を志した小島さん。サッカー日本代表チームのドクターを務め、2021年の東京オリンピックにもサーフィン競技のメディカルサポートとして参加しています。こうした経験が生きるのがスポーツ外来です。

 「プロも小中学生も同じスタンスです。年齢や学年、レギュラーなのか否かなどを総合的に勘案し、いつまでに復帰したいのかを踏まえた上で工程表を描き、最善を尽くします。競技のルールに精通している必要もあります。もちろん、状況や状態次第で『休んでね』とは言いますが、スポーツドクターである以上、ただ湿布とお薬を渡して『痛かったらまた来てね』では終われないんです」

 小島さんは、スポーツで生じたけがや症状について、まずは病院で診断をつけることを勧めています。なぜ痛いのか、その原因を医学的に特定できるのは病院だけだからです。

 「腰痛一つとってみても、重大な原因が隠れていることがあります。再び笑顔でスポーツに取り組むためにも、ぜひご利用ください」

(取材年月:2021年12月)

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専門家プロフィール

小島岳史

人工関節手術支援ロボットを導入した整形外科手術のプロ

小島岳史プロ

整形外科専門医

医療法人社団橘会 橘病院

3D設計図と、それに連携して動く自動ブレーキ機能付きロボットアームからなる人工関節手術支援ロボット「Mako(メイコー)」を駆使することで、人工股関節置換術の精度と安全性を高め、患者を笑顔へと導く。

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