人工膝関節置換術を受ける予定の患者様の骨粗しょう症有病率についてのお話
人工膝関節手術とは?
変形性膝関節症や関節リウマチなどで、膝の軟骨が高度に傷んでしまいお薬や関節注射、リハビリで痛みがとれない場合に適応となる手術です。10〜15cmの皮膚切開で、傷んだ骨をボーンソーという特殊な骨切り器具で設計図通りに切り取り、人工関節と人工軟骨を埋め込みます。手術時間は1時間〜2時間で入院期間が4週間〜8週間となります。
人工膝関節手術のメリットは?
軟骨が傷んでしまったことによる膝の痛みがすみやかに取れます。
O脚やX脚が矯正され、まっすぐきれいな足になります。
人工膝関節手術のデメリットは?
筋肉、腱、神経由来の痛みは残存することがあります。
関節可動域(膝が動く角度)は、手術前よりは狭くなることが多いです。正座はできなくなります。
ロボット支援人工関節手術とは?
わたしたち整形外科医は、手術の前に足の角度がまっすぐになるようにレントゲンをみながら計算して設計図を書きます。手術中もその設計図を見ながら計算通りに骨を切っていきます。しかし、いくら手術に慣れている整形外科医でも多少の狂いが出ることがあります。3度以上(骨でいうと約3mm)のずれをアウトライヤーといって、「設計図からずれて人工関節が設置された」と人工関節学会のなかでは表現されます。この誤差を極限までゼロに近づけるために導入されたのが、手術支援ロボットのMako(Stryker社)です。2021年11月から当院に導入しましたが、その設置精度はこの道30年のベテランの整形外科医でも敵わないレベルでした。2022年2月現在、ほぼすべての人工関節手術にMakoを導入しております(適応外の患者さんもいます)。車に例えると、自動ブレーキや自動運転装置を備えたハイテクカーといったところでしょうか。危ない血管や神経の近くではノコギリが自動で止まるように制御されますし、ロボット支援で切った骨の表面は見事なまでに真っ平らです。人の手では無理だなとお手上げ状態です。
ロボット支援手術に保険適応は?
ロボット支援手術にも保険が適応されますので、普通の手術とほぼ変わりない値段で手術を受けることができます(ロボット支援手術加算で2000点追加のみです)。
手術前
ロボット支援人工膝関節手術後(設計図から1度のずれもなく設置完了)