肥後国八代郡五家荘 菅原・左座家
沈香茶色(とのちゃいろ)
おはようモーニング!
●日本の伝統色
今日の日本の伝統色は沈香茶色(とのちゃいろ)です。
沈香茶色とは、灰みがかった青緑色のことで、別に『殿茶』とも表記します。
殿茶の名は『御染物聞書日記』(元禄元/一六八八)に「殿茶小紋(とのちゃこもん)」と見えているように、古くから行われた染色です。
江戸時代の染色技法の指南書「手鑑模様節用(てかがみもようせつよう)」にも『御召御納戸(おめしおねんど)』の薄い色を『殿茶』と呼ぶと記されており、その染色に灰みの青緑色が示されています。
「当世御めしなんどの、うすいろなるを殿茶といひ出したる事、殿の響きより御召のうらぎぬと、案をつけたるまでにて、べつにしさいなし。
一とう通用の名にはあらず」手鑑模様節用この染色に「沈香」の字をあてた由来は不明で、詳しくは分かっていません。
ちなみに、「沈香(じんこう)」とは香木の一種。
特に質が良いものは「伽羅(きゃら)」と呼ばれます。
香木は粉末にして他の香料と調合し、練香(ねりこう)や線香(せんこう)の材料として用いられますが、その中の「黒沈香」の木の色に似ていることから『沈香茶(とのちゃ)』の名がついたのでしょう。
なお、沈香茶は香木で染めた色ではありませんが、実際に香木で染めた『伽羅色』という伝統色もありますが、香木を使って染めるため非常に高価で贅沢な色です。
江戸時代に「とのちゃ」と呼ばれる色名には、他に「礪茶(とのちゃ)」がありますが、こちらは茶系統で全く違う色合いです。
●七十二候
3月1日〜3月4日頃を七十二候では、草木萌動 (そうもくめばえいずる)と言います。
七十二候が雨水の末候に変わり、草木が萌え出す頃となりました。
それでは続きをどうぞ!