舛花色(ますはないろ)
今日の日本の伝統色は今様色です。
今様色とは、「今流行はやりの色」という意味で少し淡い紫味の紅色のことです。
なお「今」とは平安時代のこと。
遅くとも10世紀頃には流行していました。
今様色の色合いは、書物によって「一斤染より薄い紅色」や「紅梅色より濃い色」など表記がバラバラなのですが、『源氏物語』の玉鬘の巻において、光源氏が、最愛の妻である “紫の上” への贈り物の衣装に「今様色」を用いていることからも、聴色である『一斤染』より色合いの濃い、『禁色』に入るほどの色相ではないかと思われます。
このことからも身分の低い聴色の薄紅ではなく、高い身分の人間に許された、濃い紅色と推定されています。
四季の移ろいの中に、美しさを見出した日本の伝統色。
歴史と歩んできた繊細な色調、自然から生まれた色名。
それらを、楽しんでみてはいかがでしょうか!