礪茶色(とのちゃいろ)
今日の日本の伝統色は鶯色です。
一般的に鶯色と言うと若葉色とかモスグリーンや パステル調の淡い緑を思い浮かべる人が多い様です。
しかし、実際は鶯色とは、鶯の背のような少し黒くくすんだ黄緑色のことです。
江戸時代からの色名ですが、当時は茶色が流行色であったため鶯色に茶色を混ぜた鶯茶色のほうが人気がありまして、鶯色といえば鶯茶色を指していました。
鶯色が認められるようになったのは明治時代になってからの様です。
鶯は古く奈良時代から親しまれ、「春告げ鳥」と呼ばれ、『万葉集』には鶯を読んだ詩が沢山あります。
春を感じさせる色として用いられます。
その場合は、新緑のイメージもあってやや薄く明るい色にすることが多い様です。
ちなみに、鶯色の使われ方としては青豌豆を煮た「鶯豆」、蓬などを混ぜた「鶯餠」、最近で言えば菓子パンの「うぐいすパン」などが典型的ですね。
伝統的な決まりごとの知識をなくしてしまった人が多くなってきたからでしょうか?
1957年に日本工業規格の物体色の色名に慣用色名として記載されました。
工業製品等の色の表現に誤解や認識のずれがないように、スタンダードを定めたものです。