猩猩緋色(しょうじょうひいろ)
今日の日本の伝統色は、「利休鼠色」です。
江戸時代後期の「四十八茶百鼠」と呼ばれる流行色の一つで、織田信長や豊臣秀吉の茶頭であった安土桃山時代の堺の商人千利休とは直接関係はありません。
利休鼠色とは黄緑色に、鼠色が加わったものです。
茶人の千利休が好んだと連想されてつけられた名だそうです。
抹茶の緑色と侘び茶の雰囲気を連想していわれた利休色に、鼠色を強めてさびた味わいを表した色合いであります。
「城ヶ島の雨」北原白秋 1913年
雨はふるふる 城ヶ島の磯に
利休鼠の 雨がふる
雨は真珠か 夜明けの霧か
それともわたしの 忍び泣き
舟はゆくゆく 通り矢のはなを
濡れて帆上げた ぬしの舟
ええ 舟は櫓でやる 櫓は唄でやる
唄は船頭さんの 心意気
雨はふるふる 日はうす曇る
舟はゆくゆく 帆がかすむ
北原白秋は、どんな思いで「利休鼠色」を使ったのでしょうか?