花葉色(はなばいろ)
今日の「日本の伝統色」は青朽葉色です。
緑味の、にぶい朽葉色で渋みがかった黄緑色のことです。
平安時代からある色で字のまま「朽ちた葉の色」をさします。この朽葉色には「朽葉四十八色」と言われるほど多くの類色があり、枯れて大地に落ちた朽葉に、平安の人は季節の移ろい、情緒の深さを感じ取ったのでしょう。
色の一つ「青朽葉(あおくちば)」は緑がかった朽葉色で浅黄色にも似た渋い黄色です。秋の鮮やかな落葉とは違い、盛夏の盛り、緑色の茂る中で落ちていく朽葉の色のことをさします。
祭近くなりて、「青朽葉」、二藍の物どもおしまきて、紙などにけしきばかりおしつつみて、行きちがひもてありくこそをかしけれ。裾濃、むら濃、巻染なども、常よりはをかしく見ゆ。童の、頭ばかりを洗ひつくろひて、なりはみなほころび絶え、乱れかかりたるもあるが、屐子、履などに、「緒すげさせ。裏をさせ」などもてさわぎて、いつしかその日にならなむと、急ぎおしありくも、いとをかしや。あやしうをどりありく者どももの、装束(さうぞ)きしたてつれば、いみじく定者などいふ法師のやうに練りさまよふ。いかに心もとなからむ。ほどほどにつけて、親、をばの女、姉などの、供し、つくろひて、率てありくもをかし。
清少納言の枕草子にも「青朽葉」と言う言葉が出てきます。