塗装業界の裏側
乾式洋瓦という瓦があります。製造メーカによって製品名は、モニエル瓦、クボタ瓦、スカンジア瓦と異なりますが、一般的には、すべてを総称してモニエル瓦と呼ばれています。
モニエル瓦の特徴は、特許製法により、セメント瓦形成時に、スラリーと呼ばれるセメント系の着色材を1㎜以上瓦表面に固着させた後、アクリル系のクリヤー塗装を施しています。
モニエル瓦の見分け方は、予備瓦があればひっくり返すと裏面に、モニエル瓦などの商品名がありますので簡単に見分けることが出来ます。その他、乾式洋瓦(モニエル瓦)は製造過程で木口部分(水垂れ部)に凹凸が出来ます。この凹凸を確認してください。
経年すると、表面のアクリルクリヤー層が劣化し、さらに劣化が進行すると着色スラリー層そのものが劣化します。劣化した着色スラリー層は、非常にもろく、皮すき等で瓦表面を軽く引っ掻くとぼろぼろと剥がれます。
モニエル瓦の塗り替え時の高圧水洗浄は、注意が必要で通常のセメント瓦洗浄時の2~3倍時間をかけ、劣化した着色スラリー層を取り除きます。目安は、色のついた洗浄水が出なくなるまで洗浄します。この洗浄が不十分ですと、塗装後、早期に剥離が発生する可能性が非常に高い確率であります。
また、洗浄時に劣化した着色スラリー層が飛び散り、周辺を汚します。養生ネットを2重に貼るなどの飛散防止対策が必要です。
下塗り材は、浸透型の2液型エポキシシーラーが多く用いられています。たっぷりと吸い込ませて塗布し、乾燥後にもう一度塗布(2回塗り)します。
最近では、水谷ペイント(株)から「スラリー洋瓦用シーラー」という専用シーラーが発売されているようです。
屋根瓦の塗装をするときは、可能であれば高圧水洗浄終了後、塗装前に、一度ご自分の目で、下地の状態、洗浄状況を確認されることをお勧めします。