【集中講座9&10】エクセルを使ったビジネス戦略、財務分析動画を作成してみました
皆さま、こんにちは
漸コンサルティングの味水です。
今回は、現在人気のテック系コンサルタントに求められる仕事や注意事項について書いてみます。ここでは、コンサルタントにトピックを限定していますが、実際には多くのビジネスパーソンにも当てはまるはずです。
需要のあるテック系専門分野とは、巷のニュースを読む限り、AI・量子コンピューター・IT・ロボティクスと私は考えています。
ただ、お金余りによるインフレや、金融引き締めにより、世界経済は減速・停滞しています。2022年頃まで続いていた凄まじい経済成長の勢いは、テック系業界を含め、現在市場にはありません。
数年前に風呂敷を拡げて夢を語っていた多くの企業は、現状を見据えて底堅い設備投資を今後は行っていくはずです。特にITの分野については、過剰投資によって需要を先食いしてしまった面もあるので、その傾向はより顕著となるでしょう。なので、それらの点には注意しておく必要があります。
現在、学生や社会人でコンサルタント志望の方は、大手のコンサルティングファームに就職したり、テック業界ですでに仕事をしていて十分な実績・スキルを持っていたりしない限りは、安易に技術系のコンサルタントになろうとは思わない方が良いと私は思います。短期的にはメリットが大きいケースもありますけれど、長期的にはリスクが高いと思われるからです。
その理由として、この分野のクライアントは大半が大手企業でしょうし、コンサルタントがテック系サービスを彼らに提供するためには、所属するコンサルティング会社に十分な事業規模(つまり経営リソースの事)、そしてコンサルタントには相当な個人スキル・経験が必要となります。
例えば、AI技術者として働いてきた人がコンサルティングファームに就職したと仮定すれば、最初はコンサルティングサービスをサポートする技術担当として、プロジェクトチームに加わるはずです。需要のある希少人材となりますので、初めから給料は良いと思います。
ただし、そのような好待遇はあまり長続きしないと考えられます。なぜならば、それら技術の進歩は速いため、一旦現場仕事から離れてしまうと、現状持っている知識やノウハウはすぐに陳腐化するからです。
そのため、最初はチーム内での技術支援が自身の役割ではあっても、いずれはプロジェクトリーダーまたはAI専門の経営コンサルタントを目指す必要があります。将来を考えた上でのキャリアアップ考察が不可欠となります。
例外として、IT関連ではウェブデザインや、テレワーク・リモート制御システムの導入など、一部中小企業を想定したコンサルティングサービスの提供は可能かと思います。しかし、中小コンサルティングファームや個人コンサルタントがテック系の分野に深入りするのは、やはりお勧めはしません。十分な事業リソースが無いので、技術の進化スピードに付いていけないからです。分野を狭めての専門サービスに特化する必要があります。それでも良ければ、もちろんビジネスチャンスは沢山あるでしょう。
巷のニュース・新聞では、読者のニーズが高いからかAI・IT・ロボティクスなど煌びやかな話題が多いですが、職業という観点で見ますと、ほとんどの人には関係がありません。多くは大企業が開発した商品やサービスを消費する側に回るからです。
ご自身が最先端の技術に関われるお仕事や、大手のコンサルティングファームに就職できる見込みがあれば別ですが、そうでない人がテック系のコンサルタントを目指すのであれば、よく考えてみる必要があります。
なぜ私にそんなことが言えるかと言えば、大学時代にはマイクロ人工衛星の開発プロジェクトに参加し、衛星の健康状態をモニタリングするテレメトリサブシステムの開発に関わっていた経験があるからです。朝から晩まで毎日設計の事ばかり考えていました。
当時はそれなりの技術だったとしても、20年経った今では、何世代も時代遅れの陳腐化した知識に過ぎません。技術は常にアップデートしなければいけないので、それが出来なくなる他の業界で将来仕事に就く可能性があるのであれば、別の解決策を並行して模索する必要があります。
話がちょっと逸れますが、日本のH3ロケットが最近続けて打ち上げを失敗しているのは、以前のH2Bロケットで培われた技術が(コストカットか何かの理由で)正しく継承されていないからでしょう。技術向上や努力は継続してこそ意味があります。若い頃、自分は無知蒙昧だったゆえに目新しい事ばかりに飛びついていましたが、最近やっと自分も継続の重要性に気づきはじめました。
ですから、例えばクライアントが技術系のお話をされれば、自分はある程度そのお話に付いていく事は出来ますが、経営戦略コンサルタントとして見ますと、他に考えるべき優先事項が沢山あるので、特にそれを売りにはしていません、というか前述の理由(つまり技術は常にアップデートしてこそ意味があるという理由)でできません。
まとめますと、コンサルタントという職業が世間で流行りだからと、安易に自分の仕事を決めない方が良いという事、そして、すでに技術系のお仕事に就いているのであれば、その優位性を損なわないために、既存のお仕事を辞めない方が多くの場合は良いということです。
もしどうしてもファームに就職してコンサルタントになりたければ、適切なキャリアアップの道を考えた上で、継続して努力されていく事をお勧めします。情報が商品である以上、はっきり言って遊ぶ時間などは無くなります。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
戦略コンサルタント
味水 隆廣
関連コラム記事:
『なぜコンサルティング業界でリストラが進んでいるのかを考察』
『マッキンゼーが1,400人リストラした事の意味とその深刻さ-アクセンチュアの大量解雇との違い』