第5回 全国一斉障害年金法律相談会(日弁連及び各弁護士会 主催)
【問】
私はまもなく63歳になり、60歳台前半の老齢厚生年金の受給権を得ます。最近、在職老齢年金の仕組みが変わり、減額の対象にならない範囲が広がったと聞きます。改正はいつからで、私は新制度の恩恵を受けることができるのでしょうか。
【答】
年金制度改正法は、令和2年6月5日に公布されました。「60歳代前半の老齢厚生年金」を対象とする在職老齢年金制度も改正され、令和4年4月1日から施行されます。施行日以後に年金の受給権を得た人に限らず、それ以前から年金を受け取っている人も対象になります。
年金減額の対象になるのは、「被保険者等である日が属する月に、総報酬月額相当額と基本月額の合計額が支給停止調整額(47万円)を超える」人です(厚年法附則11条)。
新しい支給停止額の計算式は、次の算式1種類のみです。
支給停止額(月額)=(総報酬月額相当額+基本月額-47万円)×0.5
この計算式は、基本的に「65歳からの厚生年金」の在職老齢年金と同じです。
総報酬月額相当額(賞与も含めた月収)と年金の基本月額が支給停止調整額を下回れば、働いていても、減額なしで年金を受け取れるようになります。今回の改正により、年金カットがなくなる(満額受給となる)再雇用者は少なくないはずです。