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あまり善人になってはならない

菊地茂

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 本日は仙台純福音教会の主日礼拝に出席いたします。

 今日は、前島誠先生の言葉のご紹介です。

 あまり善人になるな、度を越えた賢者となるな。  [コヘレトの言葉・7章16]

 ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の作品に、燕尾服(えんびふく)を主人公にした『運命の饗宴(きょうえん)』というオムニバス映画がありました。
 第四話は同窓会、財布が紛失し、提案で全員が服を脱ぐことになる。一人だけ脱がない男がいた。容疑をかけられての席上裁判、男は窮乏した暮らしにあることを告白し、自ら借り物の燕尾服を脱ぐ。男は胸当ての下にシャツを着ていなかった。感じが近寄ってそっと服を着せかける―そういう筋書きです。
 世に正義漢ほど厄介なものはありません。この映画のように、安全な立場に立って人を裁くからです。「オレは善人だ。悪い奴がゆるせない」、その意識が〈犯人捜し〉につながってくる、こわいですね。
 聖書は教えます。「善人になるな」と。
 思うに、「善人」などという者は一人もいないのです。人はだれでも心の奥に、他人には見せたくない燕尾服の下の〈やみ〉を抱えているものです。ならば光とやみを、共に合わせて生きるほかありません。
 「賢者となるな」、これは容易でしょう、自分の愚かさは身にしみているからです。
 むしろ、「善人となる」思い上がりを去り、「ならない」ように自戒したいものです。


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