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菊地茂

菊地茂 きくちしげる
菊地茂 きくちしげる

#chapter1

「人や企業の幸せに積極的に関わりたい」と入った行政書士の道

仙台駅東口からほど近いマンション内にオフィスをかまえるシャローム行政書士事務所。代表の菊地茂さんは、地方公務員や会社営業といったユニークな経歴を持つ異色の行政書士です。
行政書士との仕事を始めたのは今から24年前。「実は、初めから行政書士を志していたわけではありませんでした」と菊地さんは話します。
 宮城県松島町で農家の長男として生まれた菊地さんは、高校、大学時代を仙台で過ごし、大学卒業後は出身地・松島町役場に就職。公務員として忙しく職務をこなしていた菊地さんでしたが、月日が経つにつれ「もっと積極的に人と関わる仕事がしたい」という思いが自分の中に募っていきました。「高校時代に学んだ〝倫理社会〟の影響が強かったのではないかと思います。倫理社会のテーマは〝人生をいかに生きるか〟。自分の人生をより充実させるためにはどうすれば良いかを、いつも真剣に考え続けていました」。
 〝もっと人と関わりを持ち、そこから跳ね返ってくる喜びを直接受け止められる仕事がしたい〟。菊地さんのその思いは日に日に強くなり、約9年間勤めた役場を退職。「今後の道を模索していた時、東京のとある行政書士の方と出会いました。行政書士資格は大学卒業時に取っていたのですが、その方の仕事ぶりを目にし、これこそ自らの思いを実現できる仕事だと確信したんです」。
独立への思いを固めた菊地さんは、建設会社の営業マンとして働きながら事務所設立資金を貯め、1992年、現在の事務所の前身「菊地行政事務所」を開業しました。

#chapter2

心の障害者の就労支援というライフワークとの出合い

事務所の仕事が軌道に乗り、行政書士として充実した日々を送る菊地さん。日本人だけでなく、外国人の相談も積極的に受付け、国際結婚や入管法に関する対応でも実績を積み重ねてきました。
そんな中、菊地さんは新たなもうひとつのライフワークと出合いました。精神に障害を持つ方々への支援活動です。きっかけは2000年、大学時代の恩師から統合失調症を患う娘さんの財産管理について相談を受けたことでした。「なんとか力になれることがないかと調べるうち、自治体の委託を受けて精神障害者に職業訓練の場を提供する〝職親制度〟のことを知りました」。
菊池さんはさっそく制度を取り入れ、自身の行政書士事務所を受入れ先として登録。精神障害者を受入れながら、心の病について勉強を始めました。心の病に悩む人たちの現状を知るにつれ、さらなる支援が必要と感じた菊地さん。2003年にNPO法人「シャロームの会」を発足すると、2004年に開設した障害者サービス事業所「アトリエぶどうの木」を軸にして、生活訓練や就労継続支援の事業を次々と立ち上げました。
現在、カフェやお惣菜店の形で運営する5事業に、18歳から65歳まで約80人の心の障害者の方々が登録。生活のリズムを整えたり就労訓練をしたりしています。
「シャロームとは、イスラエルの言葉で『神様の平安が豊かにありますように』という意味ですが、私たちは『どんな時もあなたはそのままで素敵、大丈夫』と意訳しています。そのまま受け止めることを仕事しながらやっていきましょう、ということ。仕事をしながら今の自分を受け入れてもらうと、等身大の自分が分かってきます」と菊地さんは話します。

菊地茂 きくちしげる

#chapter3

弱さを受け止め、ありのままの自分でいられる社会をつくる

シャロームの会では心の障害を抱えた人たちのことを「チャレンジド」と呼びます。「欧米の考え方で神様から挑戦すべきことを与えられた人たち、という意味。うちは障害を悪いことととらえたり直そうとせずその方たちが社会に必要だと考えています。弱い人がいることが良い社会を作ると思うのです」。
本来、人間は弱くてもその存在に問題はないはず。そう考えられない今の社会のほうに問題があるのでは、と菊地さんは疑問を投げかけます。「心の病を持っている人が自分の弱さを認めると、人との関係がスムーズになります。自分の弱さを受け止められれば良いものが引き出されるのです」。
東日本大震災後は、心の障害のことを相談にくる方が増えたそう。「弱さは悪いことじゃない、弱さが人をつなぐ、ということを、震災をきっかけに社会が受け入れるようになったからではないかと思います」。
精神障害への社会の偏見を少しでも減らし、心の障害を持つ人が地域の中で安心して働き暮らすことができる社会づくりが私の使命。そう話す菊地さんは、行政書士の仕事とシャロームの会の活動とに真摯に向き合い続けています。
(取材年月 2016年2月)

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