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畳コーナーのある新築間取り、失敗を避けるポイントはココ!

栗山琢磨

栗山琢磨

テーマ:間取り・インテリア

新築注文住宅の家づくりで色々な間取りのアイデアを注ぐのは楽しいものです。
畳コーナーのあるリビングの間取りもそのアイデアのひとつと言えるでしょう。
リビングの一角に3畳程度の和室未満といえる畳コーナーを設けたいという希望です。
「なんで畳コーナー?どうせ新築するなら和室のある間取りにすれば良いのに」
と疑問に思う方もいるかもしれません。
勿論3畳程度の畳コーナーよりは4畳半でも6畳でも正規の和室の設置はスタンダードな方法です。
しかしながら、例えば新築する土地の事情や予算の関係から建物面積を30坪程度に抑えなければならないとした場合、他に間取りに盛り込みたい希望とのバランスを考慮すると、3畳程度のコンパクトさは俄然意味を持ってきます。
また、面積節約ばかりではなく、リビング空間との一体感重視もこの間取りのアイデアのメリットといえるでしょう。
でも、リビングに畳コーナーのあるこの間取りづくり、案外難しく新築完成後の失敗談も多いのです。
家づくり過程での間取り打ち合わせでも設置案を巡って設計士と二転三転する程度ならまだ良いのですが、新築完成後にマイホームでの暮らしが始まってみると、イメージした使い方には程遠く、気付くと単なる3畳が無駄なスペースになってしまったり‥‥
せっかくの新築マイホームで活かしたかったアイデアなのに、こんな失敗談になってしまっては残念です。
建物全体の中のたかが3畳とあなどるなかれ!
今回は新築注文住宅におけるリビング畳コーナー間取りの家づくりで失敗しない為のお話です。


・畳コーナーとはどんな間取り?

さて、冒頭から新築間取りのアイデアである畳コーナーについて切り出しましたが、失敗回避の方策を語る前に、畳コーナー自体に馴染みの薄い方もいるかもしれませんのでこちらの説明から始めます。

和室と畳コーナーの違い

一般的に新築の家づくりで畳敷きの間取りといえば真っ先に思い浮かぶのは和室の方が馴染みがあるはずです。
8畳、6畳、4畳半といった様に部屋の広さもセットで語られるので、室内の様子もイメージしやすいですね。
これに対し畳コーナーは必ずしもハッキリとした定義がある訳ではありませんが、端的には間取り上で隣接する部屋との界を障子や襖などで区切らないままオープンな状態のものや、広さも和室と比較してコンパクトな3畳程度の空間としているものを指します。
但し前述の通り、畳コーナーの扱いは一律ではありませんので、襖で仕切られ、広さも3畳未満や反対に更に広い間取りも見受けられますが、ここでは混乱を避ける為に3畳程度のオープンな畳空間を畳コーナーとカテゴリーして話を進めます。
一例あげた方がイメージしやすいと思われますので、畳コーナーのある間取りを登場させましょう。
おしゃれな畳コーナーのある新築注文住宅間取りの家
これが畳コーナーを備えた間取り例です。
リビングダイニングの一角に設置された畳のゾーンがこれにあたります。
3畳敷きの広さに加え、平面的な間取り図での描写ですがリビングとの境はオープンな状態で描かれております。
その名の通り「部屋」というよりはリビングの中の「コーナー」的位置付けなのが読み取れるのではないでしょうか。
それでは畳コーナーの姿を確認したところで、次は新築マイホームの暮らしにおいて、畳コーナーにどの様な使い方を求められるのかをまとめてみましょう。

畳コーナーでどんな使い方?

新築注文住宅であれば基本的に間取りの構成は自由ですが、畳コーナーのポジションの多くはリビングに併設されます。
この事から一家の暮らしの中心となるリビングの機能をより拡充させる効果が主目的であると言えましょう。
一般的な新築住宅間取りに見られる従来通りのリビングでは満たせない付加価値が備わって、始めて畳コーナーを設ける意義が生まれます。
それではリビングへの付加価値として考えられる用途にはどの様なものがあるでしょうか?
いくつか並べてみましょう。

・子供の遊び場
・お昼寝スポット
・大の字になってゴロリ
・冬はコタツに入ったり
・ちょっとした作業場として


細かにあげればキリがないのですがリビング単体では補えないこんな用途が考えられます。
リビング内に毎日おもちゃを広げられては片付けが大変ですし、この点では趣味や家事で集中したい作業も中断する度の整理は面倒な事もあるでしょう。
こんな時便利な、ちょっとくらいなら出しっ放しでもOKなスペースに対応できます。
また、お母さんの目が届く様な子供のお昼寝スペース、お父さんの休息に大の字になってゴロリとなるにはソファでは窮屈な時‥‥
冬の寒い日にコタツの雰囲気も味のあるものです。
どれも新築したマイホームでの暮らしに深みをもたらしてくれそうですね。

なぜ畳コーナーの間取り?


でも、これらの用途は畳コーナーでは無くとも、和室をリビングに併設すれば充分満たせるどころか、寧ろ機能性は更に充実する様に思えます。
せっかくマイホームを新築注文住宅で家づくりするならば、8畳間とはいかないまでも4畳半程度でも正規の和室を間取りに盛り込む選択肢もあるのですが、そうもいかないケースは冒頭にも触れた通りです。
例えば夫婦と子供2人の4人家族が新築しようと間取りを検討する際、パブリックスペースのLDK、水回り等の他に、夫婦と子供2人の個室といった部屋数は最低でも確保したいところです。
でもそれは最低部分の間取り要件にすぎません。
それら基本部分だけではせっかくの新築マイホームに求める理想は収まらないはずです。
新しい住まいでの暮らしやすさを追求した時に更にどんなアイデアを盛り込むか?
新築注文住宅の家づくりは、そんな様々な工夫を試せる楽しみがあります。
前述の畳コーナーで得られる暮らしの付加価値もその中ひとつとして含まれますが、家づくりで工夫してみたいアイデアは勿論他にもたくさん考えられます。

  • 帰宅直後に着替えられるクローゼットが便利
  • 玄関には土間収納があるといいんじゃないかな
  • 洗濯物の干し場を洗濯機近くに欲しい
  • リビングはゆったりした空間にしたいな

色々なアイデアを家づくりの中で間取りに全て反映させられれば理想的なのですが、そうも上手くいきません。
一つは予算とのバランスです。
あのアイデア、この工夫と片っ端から計画案に盛り込めば間取りは肥大化し、それにつれコストも膨張してしまいますのでどこかで歯止めをかけねばなりません。
二つ目は敷地とのバランスです。
間取りが敷地からはみ出す訳にいかないのは当然としても、敷地面積に対する建物の面積に制限を加える建ぺい率、容積率といった法制限を考慮すると、たとえ敷地内に収まっていたとしても思い通りの床面積を確保できない場合も考えられます。
これらの要件を踏まえた結果、建築可能な建物面積が仮に30坪そこそこであったとしましょう。
30坪という面積は4LDKの間取りも可能ではあるが、やや窮屈気味といった建物規模です。
この30坪の床面積の中に、先に例示した様なLDK始めとしたパブリックスペースと3室のプライベートルームの基本要件に加えて、様々な他の間取り上のアイデアを盛り込もうとした場合、整理ややり繰りの工夫を施さなければあっという間にオーバーフローしてしまいます。
こうした間取りの構想をまとめる過程で、通常の和室の機能を概ね継承しながらも、コンパクト化を図る工夫として畳コーナーというアイデアが解決策として考えられるのです。
また、必ずしも広さの制限というネガティブ要素だけが畳コーナー採用の動機になるわけではありません。
冒頭にも触れた通り、リビング空間は家族皆が集う暮らしの中心となる空間です。
この空間を一体に共有しながら付加価値を得られる点では、畳コーナーはこの上なく自然です。
なぜ和室では無く畳コーナーの間取りなのか?
こうした背景が畳コーナーのメリットとしてあるようです。

・畳コーナー間取りの失敗はココに注意!

設計
この様な背景で採用される畳コーナーの間取りですが、不用意な企画は失敗を招く事も少なくありません。
その設置方法に注意が必要なポイントは何でしょうか?
ここで間取りづくりの過程で畳コーナーの設置場所を考える場面を想像してみてください。
新築注文住宅はいくらオーダーメイドとはいえ、間取りの立案は前項でも確認した通り様々な条件をクリアしていかねばなりません。
その中で間取り図作成過程での優先順位はリビング、キッチン含む家事動線といったテーマと比較すると畳コーナーのポジションは劣後しがちです。
「3畳程度のスペースだからどこか空いたスペースに‥‥」
こんな意識も加わると後回し感はより一層顕著になるものです。
結果としてリビングの奥の方の隅っこ、いかにも取ってつけた様に設けられている畳コーナーの間取りの実例を目撃した事はありませんか?
暮らしの中心になるリビング空間の居住性、意匠性、快適性を優先的に間取りの構想をたて、その機能性を更に深めるという畳コーナーの役割を考えれば、リビングが主、畳コーナーは従という整理の手順自体に問題はないでしょう。
とは言いながらも、リビング一角の家族が往来する通路ゾーンに位置する3畳スペースでは、落ち着いてお昼寝も出来ないでしょうし、窓もない陰になる奥深いポジションでは遊び場にもなんだか可哀想な気もします。
間取りを眺めていても気付かなかったが、暮らしてみたら居心地が良くないぞ」
こんな失敗談です。
リビングの機能を損なわずに畳コーナー自体にも存在意義を高められる様なポジションを与えられた方が、せっかくこの空間を設置する価値も高まるのではないでしょうか。
先に掲げた間取り例をもう一度ご覧ください。
くつろぎや動線といったリビング空間そのものの機能に影響を及ぼさない位置取りではありますが、畳コーナー自体にも十分な窓を設置し採光、通風も十分に確保できる居心地の良い空間となっています。
また、リビングと畳コーナーの間で空間を共有しあう事で、広がりや明るさを補完し合える関係性を持たせています。
間取り図に加えてこの部分の外観図があるとイメージが膨らむかもしれませんので、こちらもご覧いただきましょう。
素敵な30坪間取りの外観
リビング、畳コーナー相互の大きな窓は明るさや心地よい自然の空気を運んでくれそうですね。
こんな畳コーナーであれば、狙い通り暮らしに付加価値をもたらしてくれるのではないでしょうか。
これなら先程の様な失敗は回避できるのではないでしょうか。
加えてもうひとつ、先程とは正反対の失敗にも注意を。
先程とは反対に畳コーナーが最良好なポジションを占有してしまうケースです。
間取りづくりの場面で畳コーナーへの意識を集中し過ぎると本来のリビング、畳コーナーの主従が逆転し、リビングが奥に追いやられる様な形態が見られる事もあります。
今度はリビングがとってつけた様なポジションになってしまう失敗です。
勿論、畳コーナーが主でリビング空間が従という相互の関係が全てにおいて問題であるという訳ではないのですが、新築完成後の暮らしの中で「アレ?」などという失敗のない様に間取りづくりの段階で注意を払いたいですね。

・工夫次第で畳コーナーはもっと活躍できる


さて、畳コーナーとはどんな間取りか?これを設ける意義やその際に失敗しない為の注意点は何なのか?はお分りいただけたと思います。
こうした畳コーナーの特性が、新築したマイホームでの暮らしの理想にマッチしているのであれば、間取りづくりで採用を検討してみるのも良いかもしれません。
型通りの4LDK間取りに固執し全ての空間が中途半端な状態で失敗するのであれば、和室を畳コーナーにする事でスリム化を図り、その分を他の空間に充てるのもひとつの方法です。
工夫次第で間取りづくりの選択肢を広げてくれるかもしれませんね。
最後に先に例示した間取り図で更なる工夫を試せるポイントを二つご紹介します。
一つ目はリビングとの仕切りです。
和室と畳コーナーの大きな違いはリビングとの境がオープンか否かが大きな特徴でした。
リビングと空間を一体化している畳コーナーはそれ自体がプラスに作用する面もありますが、時には用途が制限されてしまう場面もあるでしょう。
例えばお昼寝の時、カーテンを閉じるなどして少し遮光をしたいと思っても、リビングからの明かりを遮断する様な調整は難しいでしょう。
また、おもちゃを散らかしていた時の来客時に、サッと襖を閉めて隠すような芸当にも不向きです。
勿論リビングとの仕切りに襖などを取り付けるという方法もありますが、普段の開放状態の時に襖が邪魔になり、ただでさえコンパクトな空間の開放感を損ねてしまいます。
そこで襖の代わりにロールスクリーンなどを天井から吊り、両空間を仕切るという方法が考えられます。
御簾の様なイメージですね。
この場合リビング、畳コーナーの境界天井部分に予め、補強を施しておいた方がこうしたものを設置しやすくなるでしょう。
二つ目は、外観パースで描いた様に、畳コーナー横に設置した掃き出しの大きな窓の扱いです。
3畳程度のコンパクトな空間が閉鎖的にならない様、また、採光通風の効果が畳コーナーは勿論リビング空間にまで及ぶ事を意図したものですが、道路から玄関へと向かうアプローチ部分に接している為、来訪者や隣地住宅の視線とかち合い、プライバシー確保の点で難が生じる事が懸念されます。
そこで、対策を2つ盛り込んでます。
まず、アプローチ部分が昨今の新築住宅でよくみられるオープンスタイルの外構では、直接ふいに来訪者が横を通過してしまうのが問題です。
そこでオープンにせずアプローチ導入部分に門扉、インターホンを設置し、来訪者の動きを一度止める機能を持たせればこの問題は解決しますね。
次に隣地との視線の干渉ですが、これは隣地宅の間取り次第という部分もありますが、こうした事が懸念されるのであれば予め対策を施しておきたいものです。
これには丈の高い目隠しフェンスを畳コーナー付近の境界に設ける事でカバー出来るでしょう。
当たり前といえば当たり前の対策ですが新築完成後に気が付き、せっかく終えた外構工事の通常フェンスを撤去してやり替えるのでは、無駄な手間や費用が発生する失敗談となってしまいます。
こうした直接的な間取り自体以外の工夫も凝らしていけば、暮らしの中で畳コーナーが活躍する機会も更に増えていくのではないでしょうか。


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併せてご覧頂ければ幸いです。

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栗山琢磨(住宅購入・家計設計コンサルタント)

パートナーズライフプランニング

ハウスメーカーでの経験とファイナンシャル・プランナーの知見から、住宅購入をサポート。将来を見通した資金計画から、土地探し、間取り図作成、住宅会社選びまでトータルで相談に応じ家づくりの満足度を高めます。

栗山琢磨プロは河北新報社が厳正なる審査をした登録専門家です

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