住宅購入の不安解決にはライフプランニング相談が欠かせない訳
住宅購入を考えてはいるけれど、先々何か起きたらと思うと心配で心配で中々先に進めない。
具体的には先々の住宅ローン返済への心配事です。
アレコレいろんな不測の事態、つまりリスクを考えると心配は尽きないという方もいるのでは?
通常、住宅購入の資金調達には殆どの方が住宅ローンを利用し、且つ、家賃負担よりも住宅ローン返済額が上回るケースが多いはず。
つまり住宅購入を機に家計の環境が変化するという事です。
だからこそこんなライフプランニングにおける心配事が頭を巡りリスクを懸念するのでしょう。
「もし収入減で住宅ローン返済が難しくなったら」
「今の家計状態なら心配ないけど果たしてこの先大丈夫か」
「住宅ローンが返せなくなった人の話を聞いたことがある」
そうなると住宅購入のメリットは理解しながらも、住宅ローン返済への心配を中心に様々なリスクがどうしても気になります。
一方でリスク回避を念頭に置くならば、住宅ローンの返済は後々負担額を変更できませんが、家賃が心配であれば安価なアパート等へ転居すれば負担額を抑える事も可能です。
結果として
「両方比べるとリスクを背負い込んでまで住宅購入するよりも賃貸暮らしの方が安心?」
実際に住宅購入を見合わせる方向に舵を切る方も見受けられます。
確かにこれはこれでリスクに対するひとつの備え方といえるでしょう。
でも、多くの方がリスクに対する備えの「ある観点」を見落としている事が多い様です。
ライフプランニングにおけるリスクマネージメントをテーマとする際、最大の経済的危機として備えるべき「万が一のリスク」対策です。
今回は住宅ローン返済と家賃のリスクマネージメント策についてお話しいたします。
・団体信用生命保険がカバーする住宅ローンのリスク
万が一の事態が起きるリスク。
住宅購入云々に関わらず誰もが考えたくない事態です。
深い悲しみは言うまでもありませんが、それだけでは無くそれが家計を支える一家の主であった場合、その後残された家族の生計をどの様にして立てていくか経済的な危機にも見舞われてしまいます。
何故なら生活の糧となる収入を失うからです。
そうしたリスクを心配して、多くのご家庭では生命保険を備えているのではないでしょうか。
つまり、失った所得に変わる経済的な保障が生命保険に求められているという事です。
そしてその備えるべき保障額は残されたご家族の「生活費」と皆さんが加入している公的年金の「遺族給付金」を元に算出するのが合理的です。
この辺りのリスク対策の考え方は以前にも下記のブログで詳しく取り上げましたので併せてご覧ください。
生命保険は入るべき?いくら必要?にわかりやすくFPが解説
こうした根拠で算出し、今現在皆さん自身が加入している生命保険の保障額と見比べた時、不足が有れば補う事を検討するのが安心ですし、過分で有れば見直しもあり得るという事になります。
そして問題の住宅ローンです。
もし、そうした事態に見舞われた時に、住宅ローンの借入額が4000万円残っていたとしましょう。
また、その時に備えていた生命保険の保障額が4000万円であったとします。
この場合、単純に考えますと生命保険の保険金は全て住宅ローンの返済に置き換えられてしまう計算になってしまいますね。
これではその後の生活そのものが心配です。
なにより本来こうしたリスクに対処すべき生活の糧への保障という役割にまわる資金が残りません。
正に危機の状態です。
そこで住宅ローンには「団体信用生命保険」といったものが付保されており、これへの加入が融資条件となっているのが一般的です。
この団体信用生命保険ですが、住宅ローン借入金の残債額を保障額に借入者に対して掛けられた生命保険という説明が理解して頂きやすいかと思います。
住宅ローン借入額ではなく残債額というのは、仮に4000万円の融資を受けていたとしても返済を重ねるごとに元金の4000万円は少しずつ減少していきますね。
一方で借入者に万が一の事態が起きるリスクというのは可能性のみならず如何なる時点かも予測は不能なので、事態発生時の残債額を保障額とした生命保険を、住宅ローンとセットで掛けていくというイメージです。
そうしたことから、その時々の実際の保障額は元本に付随して返済期間が経過するごとに減少していく仕組みとなっております。
したがいまして、一般的に住宅ローンを返済中借入者に万が一のことがあっても、残された家族は以後の住宅ローン返済負担の心配や、それまで掛けていた生命保険の保険金が住宅ローン残金で目減りする心配は必要なくなるのです。
・家賃に対する万が一の保障は心配ない?
団体信用生命保険により、万が一のリスクに対する住宅ローン返済開始以後の対策が講じられている事はわかりました。
それでは賃貸住宅の家賃の場合は心配ないのでしょうか?
まず現在賃貸住宅にお住いの皆さんにお尋ねします。
毎月、賃貸住宅を管理する不動産会社を経由して賃貸住宅所有者、いわゆる大家さんに家賃が支払われているはずです。
家賃に加えて共益費や駐車場を借りていればその費用も含まれる事でしょう。
それでは、住宅ローンの団体信用生命保険に該当するものが家賃に対して付加されていますか?
・・・・・
ありませんよね。
賃貸契約を締結した時に借家賠償保険等の契約は結んでいるかもしれませんが、これはあくまでも借りている賃貸住宅建物へ損害が生じた場合のリスクに対する保障であり、家賃に対するものではありません。
つまり、万が一のリスクに対する家賃への保障は自らの手で別途準備する必要があるという事です。
この点をもう少し掘り下げてみます。
生命保険の役割は家計を支える主に万が一のリスクが降りかかっても、残された家族に対する以後の生活基盤となる所得の代替手段となるものであり、そのリスクに相応しい保障を備えておくことでこうした心配から解放されるという点にありました。
但し、一般に備えられている保障額だけでは家計支出の内住居費、すなわち住宅ローン返済を解消するには不足すると考えられます。
このリスクを解消する為に住宅ローンには団体信用生命保険がセットされている訳です。
という事は賃貸住宅に入居中の世帯に万が一のリスクが降りかかった場合、その後の家賃負担をどの様に捻出するかが問題になる。
ここが論点です。
例えば稼ぎの中心となるお父さんに万が一の事態が起きてしまったとします。
団体信用生命保険の項での例示と同じ様に4000万円の生命保険での保障が受けられたとします。
でも、これは住居費以外の生活費全般を支えるお金です。
その先の家賃負担総額を計算し、それに見合った額が加えて備えるべき保障額という訳ですね。
それでは一体どの位の保障額が妥当なのでしょうか?
以下の様な計算方法が考えられます。
仮に今現在35歳、家賃が7万円だと仮定しましょう。
いつ迄の家賃分を計算するか?
当然一生涯ですので、女性の平均寿命を87歳として
(87歳ー35歳)×12ヶ月×7万円=4368万円
これが家賃分のみの必要保障額です。
先程例示した生活保障の必要額が4000万円程度であったご家庭の場合、この4368万円を加算して備えるべきと言うことになります。
実に現状の約2倍の保障額を生命保険で備えていなければ、このリスクに対する備えへの心配事は解決しないという考え方ができますね。
勿論そうした事態の後に賃貸から持家にシフトすれば、これらの事情も変化いたしますが、パートナーを失い独力での住宅購入となると事後の住宅ローン借り入れ等それ自体に資金的課題を要しますので、そうした事態の解決手段として予め見込むべき策とは言えないのではないでしょうか。
・家賃と住宅ローン返済額の比較だけで大丈夫?
結婚し家庭を築いた方々がいきなり持家というケースは稀で、アパートや社宅といった借家での生活から暮らしの場がスタートするという流れが大勢でしょう。
その後、お子様の誕生や先々への経済的な見通し等なんらかのきっかけで、皆さん持家の購入を検討するタイミングを迎えるのではないでしょうか。
そうした場合に、検討のテーマとしてクローズアップされるのは、住宅ローン返済がリスク要素にならないか?という点である事は冒頭にも述べた通りです。
勿論、家賃よりも負担額が大きく以後の可変性の無い住宅ローン返済を抱えるよりも、負担が重くなれば転居で調整を図れる家賃負担の方がリスクが低いという考え方も一面的な視点としてはありえるでしょう。
しかしながら、表面的な家賃と住宅ローン返済額比較の損得やリスク評価だけでは十二分な答えを導きだせているとは言えず、ライフプランニングの課題をつぶさに検証してみると、今回掲げた様なテーマまで深掘りする事で違った一面が見えてくるものです。
また、当然のことながら賃貸住宅と持ち家の住まいでの暮らしの質や、短期にとどまらない生涯総支出を比較する事も忘れてはなりません。
この辺りは以前のブログ記事でも取り上げました。
持ち家と賃貸住宅どっちが得?住宅購入前に迷った時はここを整理
賃貸、持家を問わず皆様の暮らしの場をいかなる選択をするかは皆様のライフプラン左右する大切なテーマです。
今回は住宅ローン返済と家賃負担におけるリスクマネージメント策の考え方を団体生命保険を切り口にお話しいたしましたが、新たな着目ポイントとして検討作業のお役にたてれば幸いです。
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