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一戸建て新築時に気になるハウスメーカーの坪単価とは?考え方は?

2023年1月29日

テーマ:マイホーム計画

コラムカテゴリ:住宅・建物

一戸建住宅の新築を検討している方が気になるものの一つに各ハウスメーカーの坪単価があるのではないでしょうか?
新築するならより良いハウスメーカーを選びたいのは誰もが同じですが、価格が高すぎて予算オーバーでは話になりません。
色々ハウスメーカーを比較しようと営業マンに価格を尋ねると、返ってくる回答の多くが「坪単価」での説明です。
このハウスメーカーは気にいったけど坪単価90万円と高い!あっちのハウスメーカーは違いがわからないけど坪単価60万円で比較すると安い!!という具合に、価格比較の材料として使えそうな坪単価。
ところが営業マン氏の坪単価説明には注釈があり、
「目安の坪単価はこの位ですがあくまで目安でバラツキがあります」
「一戸建平屋の新築は坪単価が平均より高くなります」
「この間取りは坪単価が安く抑えられるのでオススメです」
「この費用は坪単価には含まれません」
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更にはハウスメーカーごとに、営業マンごとに坪単価の説明は一様では無い上に、建物によっても坪単価は変わるというのです。
いったい新築住宅の坪単価とはどの様な考え方なのでしょうか?
坪単価を抑えて新築する方法はあるのでしょうか?
今回は分かっている様で分からない新築一戸建ての坪単価とは何かを考えてみましょう。


・新築注文住宅の坪単価とは何か?考え方は?

注文住宅相談
新築計画を開始した皆さんにとって一番気掛かりなのは予算ではないでしょうか。
ハウスメーカー選びも予算とのバランスを考えないと絵に描いた餅になってしまいかねません。
それには各ハウスメーカーの住宅性能や信頼性と共に価格チェックも重要な要素になります。
ところが、この住宅価格のチェックというのは中々わかりにくい作業だと言えるでしょう。
何故なら値札が付いていないからです。
特に新築注文住宅の場合、間取りはいわゆる自由設計ですから、30坪、40坪、50坪と家の大きさは様々です。
あたりまえの考え方であれば、建物の大きさで価格も変わるのは当然ですから、ハウスメーカー側も一律いくらという値札がつけにくいのです。
したがって間取りも何も定かでは無い状態で各ハウスメーカーに建築価格を尋ねたとしても、3000万円、4000万円という答えを返しようが無いというのが注文住宅の厄介なところです。
でもこれでは価格の目星がつけられません。
そこで登場するのが坪単価という計算尺度です。
建物の規模が個別に異なるから建築価格がどの位なのか比較できないのであれば、建物同じ面積あたりに置き換えて計算すればわかりやすいはず。
坪単価とはその様な考え方から用いられ、次の様に計算します。

坪単価=建築価格 ÷ 延べ床面積

例えば建築価格2800万円、延べ床面積35坪であれば
2800万円 ÷ 35坪=80万円/坪
坪単価は80万円という事になります。
もう一例
建築価格3500万円、延べ床面積50坪ならどうでしょう?
もうお解りですね!答えは坪単価は70万円です。
ここで上の二つの例をもう一度見比べてみましょう。
両者を比較すると後者の方が建築価格は高額ですが坪単価は寧ろ低く納まっています。
つまり両者の坪単価を比較すると前者の方が新築費用は安いが高価な建物であるという事になります。
この様に例えばハウスメーカーごとの坪単価とは何か?その考え方を知る事によって、
「価格が予算に合致しているか?」
「値ごろ感はあるか?」
「どの程度のランクの建物か?」
こうした見当をつけるのに便利な単位であるとして、家づくりの場面でよく用いられるのです。

・同じハウスメーカーの新築一戸建てでも坪単価が高い!

この様にハウスメーカー選びは勿論、予算案作成含め新築計画全般の検討に便利に使えそうな坪単価ですが、実は坪単価とは結構使いこなすのが難しい注意すべき尺度でもあります。
何が難しいのか説明しましょう。
例えばあるハウスメーカーの新築注文住宅の坪単価が60万円と説明されたとします。
そしてあなたの検討している間取りは延べ床面積40坪であったとしましょう。
この場合、単純計算すると建築価格は60万円 × 40坪で2400万円になるはずですね。
ところが必ずしもそうはならないのです。
と言うよりも通常は同じ面積でもピタリと一致する方が稀です。
「設備や仕様が違っているから?」
そういう考え方も勿論ありますね。
でも、同じ設備仕様でも滅多にピタリ一致とはいきません。
理由は次の通りです。
注文住宅で新築すると言う事は、同じ面積の間取りであったとしても、その形状は様々です。
横長、縦長、正方形、凸凹の具合と1件1件の間取りは個々に異なります。
そしてハウスメーカーが注文住宅の価格を見積もる際、設計図に基づきひとつひとつの部材数量と単価を積算していきます。
そうした考え方で下の二つの間取りを比較してください。

ちょっとシンプルすぎて変な間取りですが、わかりやすく説明する為の例示ですのでご容赦下さい。
この2つの間取りの建物は両者とも同じハウスメーカーで床面積も一緒、設備仕様も一緒であったとします。
それであるならばどちらも同じ新築価格、つまりは同じ坪単価になるべきですよね。
ところがこの場合、実際の価格は上側の間取りAの方が高くなるのです。
何故だと思いますか?
答えは外壁の周長にあります。
両者の外周長を計算してみましょう。
間取りBの周長は32Mに対して間取りAは40Mと、8Mつまり1/4程度分も長くなっています。
と言うことは床材、お風呂、キッチン、サッシといった部材数量や材質が同じであったとしても、その周長差分の外壁や基礎、断熱材といった部材数量を多く施工に必要としますね。
その差額分、間取りBの建築価格は高くなり坪単価も高くなるという考え方です。
また次のような比較もできます。

間取りCは総二階建て、間取りDは平屋建てですが、この二つも先程と同様に同じ床面積、同じ設備仕様です。
この場合の両者の坪単価はどうでしょうか?
答えは間取りDの平屋の方が通常は高くなります。
さて、今度はどの様な考え方でしょうか?
ここで着目するのは基礎工事と屋根工事です。
間取りCは総二階なので基礎は1階部分、屋根は二階部分のみとそれぞれ20坪分に対しての施工ですが、間取りDは両方とも40坪分を丸々施工しなければなりません。
この差額が坪単価にも反映されてしまうのです。
ここで例示した2つのモデルからわかることは坪単価を抑えるコツは正方形に近い総二階の間取り形状と言うことが言えるでしょう。
基本的に坪単価とはこの様な考え方に基づいているという事をまずは押さえておきましょう。
但し、この要素の他にも、実際の新築注文住宅の家づくりでは間取りはもっと複雑になり、サッシや扉のタイプや数量等も個体差が大きくなれば、更に価格のブレは拡大します。
加えて床面積の大小によっても坪単価は変化します。
中々面倒ですね。
こうした考え方で見た時に、一部には何でもかんでも坪単価〇〇万としているハウスメーカーもありますが、どんなものでしょう?
一見すると分かりやすくて親切な会社に思えるかもしれません。
でも、高い自由度の設計を実施している会社程、積算の根拠となる単位は細かになる仕組みはご理解頂けましたね。
であるならば、何方が適正な価格提示をしている会社でだという考え方が成り立つでしょうか?
こうした観点も坪単価を基にしたハウスメーカー選びの材料になるのではないでしょうか。

・坪単価を気にしすぎて大失敗


新築住宅の坪単価とは何か?その仕組み、少しご理解頂けてきましたか?
でもまだこれで終わりではありません。
もうひとつ、坪単価とは何かを理解する上で注意したい点があるのです。
前項のテーマに副えば間取りごとに建物の坪単価は変われども、同じ間取りで坪単価が違っていれば、その差は中身の違いであるとも考えられます。
その考え方を用いれば、同じ間取りでハウスメーカー同士の坪単価を比較すれば、各社の内容の充実度や値ごろ感を察知する材料として坪単価は有効な比較手段となりそうです。
新築計画の為に各ハウスメーカーの営業マンから其々の坪単価をヒアリングしデータを揃え、一生懸命比較作業に励む方も見受けられますが、表面的な坪単価比較をするよりも同じ土俵で比較すれば遥かに効果的とも考えられるでしょう。
しかし・・・
それでも尚、ハウスメーカー同士の坪単価比較は難しいのです。
何故でしょうか?
実を言うと坪単価計算の元になる建築価格自体の定義が各ハウスメーカーで統一されていないからです。
ある社は新築工事全体の価格をひっくるめて示しているかと思えば、別な社は「別途工事」と称して工事の一部を除外、またその除外範囲も各社一律では無い・・・
とにかくバラバラです。
いくら同じ間取りの建物だからと同じ面積で割り算しても、そもそも含まれる範囲が一定では無い金額に基づく坪単価同士では、ハウスメーカー間の比較材料という意図には沿いません。
反対にこの事実を知らずに出てきた坪単価を真に受けてしまったらどうでしょう?
そうした精度の粗さを補正せずハウスメーカー選びの判断材料としてしまえばとんだ判断ミスをしかねません。
坪単価を気にしすぎて大失敗・・・
案外こうしたケースは多い様な気がします。

・坪単価は目安にすぎない


新築注文住宅の検討作業にはあたり前の様に登場する坪単価ですが、便利な様で中々面倒な単位でもある事がお分かり頂けたでしょうか。
結論から申しますとハウスメーカー選び、間取り図作成と新築計画の全てのテーマにおいて、坪単価とはあくまでも目安にすぎないという考え方でこれを取り扱った方が間違いなさそうです。
そもそも坪単価の尺度を十分に使いこなすには、ある程度以上の経験値を要します。
「間取り形状」「建物規模」「設備仕様」「工事範囲」これら個々に異なる要素で成り立つ注文住宅の場合、これらを読解し坪単価の見当を付けるには相応の経験とデータの蓄積を必要とするからです。
これは裏を返すと相談先のハウスメーカー担当者の技量によっても読み違いが起きるという事。
坪単価の見当を付けながら打ち合わせを重ねて出来上がった間取り図をもとに見積もりをしてみたら、予想したよりも高くなり予算オーバー!
こんなトラブルは新築注文住宅の検討過程ではよく見られますが、原因はこうした所にあるのかもしれません。
あまり坪単価を絶対視し過ぎない事がこれを上手に扱うコツといえるでしょう。

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この記事を書いたプロ

栗山琢磨

満足が続く家づくりと家計設計相談のプロ

栗山琢磨(パートナーズライフプランニング)

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