終活バトラー(執事)がこっそり教える「エンディングノートの書き方」
本日は「家族わくわく信託」というテーマでお話をしていきたいと思います。
この図を見ていただきたいのですが、皆様もよくご存知だと思うのですが、こちらに男性と女性の平均寿命というのがあります。男性の平均寿命は約80.98歳、約81歳ですね、女性の方は87歳というのが平均寿命ということになっております。
しかしその前に、健康寿命というのがございまして、男性の場合ですと72.14歳、そして女性の場合ですと74.79歳ということで、ここの平均寿命と健康寿命の差がおよそ10年の差があるということでございます。健康寿命というのはみなさん自身の手足で、生活ができるということですね。誰からの介助もしてもらうことなく、自分で生活ができるという年齢が健康寿命ということになっております。それでこの差が10年あるということは、単独で生活ができないと、誰かのお世話にならないと生活ができないと、なので今よく言われているのはこの健康寿命と平均寿命の差をどんどん詰めていきましょう。健康にもっと留意して、健康管理をよく考えて生活をして行きましょうということです。
やはりその健康寿命の平均寿命との差の中には、どうしても今よく言われる認知症ということが言われているわけですね。今でも65歳以上の462万人が、現在もう認知症の有病者ということです。その予備軍が380万人いるということで、これらを合わせると842万人の方が認知症でいたり、もしかすると認知症にかかられるという方が今いられるということですね。
私も有限会社村建地所という不動産会社を営んでおりますが、私も25年間仕事をしておりますが、当然こうやって年齢を重ねておりますが、私が管理させていただいているオーナー様も年を重ねていらっしゃるわけですね。そのオーナー様の中には、もうまもなく認知症になられるのではないかなというオーナー様もいるということで、私もとても心配しているのです。それでこの意思判断能力が失われるとどうなるか?銀行等で自分で自分の名前が言えない、生年月日が言えない、自分がどこの誰かというのが判断できないと、銀行では当然お金を貸すときに、金銭消費貸借契約という契約行為をしなくてはならないのですね。そのときにお金を借りる方が意思判断能力がないと、「お金を貸すことはできませんよ」ということになるのですね。そうなってきてご自身の資産の保持していく能力がなくなるということになると、オーナーさんが持っている資産等を動かすことができなくなってしまう、とても不都合が出てきたわけですね。今は「成年後見」という制度もあるわけですが、なかなかこの成年後見というのは、オーナー様の資産はなるべく少なくしない、流出させないということが目的にやっているので、柔軟な対応ができなかったのですね。それで家族信託、信託法という法律は昔からあったのですが、その信託法というのが2007年に改正されて「家族信託」ということで、利用価値が増えてきたという状況でございます。
私は不動産業を営んでいるので、たまたまこれは例ですが、高齢者の不動産オーナーの資産管理というところでご説明をしていきたいと思うのですが、お父さんがアパート2棟を所有していたということでございます。今までは長男・長女さんがお父さんの代わりになって、これを代筆していました、契約をする際に。だけどもこの内容はいいのですが「こういった契約をしました」、またそのアパートとかですね、老朽化した時に屋根・外壁を塗り直そうと思った時に、この大修繕をするときに、手持ち金がないので、その修繕費用は銀行からお金を借りてしようとなった場合に、先ほど私がお話ししたとように、その金銭消費貸借契約はお父さんにはもう意思判断能力がないので、その契約が結べないということになると、そのアパートの修繕ができない、また本来であればその賃貸者契約も、当然オーナーであるお父様が契約書に署名・捺印しなくてはならないのですね。でもそれがもう書けないという状況になってくると、新たな賃貸者契約が出来なくなる。私が以前行ったセミナーでもお話をしたのですが、そうなってきてしまうと折角そういう収益を稼げる物件が何も手をつけられなくなる、まさに財産が「塩漬け」になってしまうという状態になります。それで相続の中でお話しておりますが、「遺言」というのはあくまでもその方が亡くなってから、法律効果が出るのが「遺言」なんですね。その方が亡くならなければ、いくら遺言があってもそのような効果は及ばないということになっております。生きているうちにその安全な契約をすることができないか、というのが「家族信託」ということなのですね。それでこちらの図で説明させていただきますと、これがお父さんです、これが委託者で、例えば受託者が長男さんでも長女さんでもよろしいですが、ここで信託契約を結ぶわけです。あくまでも、その段階でお父さんが所有権移転ということで、信託で娘さん長男さんはどちらかに名義が変わるのです。当然所有者になっておりますので、アパート等の契約はすべてこの受託者と銀行なり、あとは入居者と契約することが可能だと。しかしここで所有者なってしまいますで、この家賃ですね、家賃が所有者である息子さんに直接入ってしまうとこれは贈与になってしまいますので、この家賃収入はあくまでもお父さんに家賃が入るというふうな契約が「信託契約」ということです。その信託契約を結ぶと、大規模修繕であったり、売却であったり、建て替えだったり、賃貸借契約であったり、管理委託契約というものも全て意思判断能力が存在する息子さんや娘さんでかわすことができる。あとは生きている間にその収益が産めば、その利益が得た収益は全てお父さんに還っていくということになるのが「家族信託」です。やはり私どものような不動産会社がオーナーさんに対しては、ぜひ元気なうちに「家族信託契約を結んでおきましょう、ということを進めておるわけです。
この家族信託のまとめということになりますが、家族信託は資産家や事業経営者に限らず、誰でも気軽に利用できる仕組みです、家庭裁判所や信託銀行を介在させることなく、家族間の契約等で作れる自由な制度でございます。そして生前の財産管理手段として、成年後見制度に代わる選択肢の一つということになってくると思います。残したい、引き継ぎたい資産の道筋を作ることができる仕組みであるということでございます。家族信託を使ったからといって、相続税が安くなるわけでも、揉め事が解決するわけではありませんが、当然その家族信託が万能ではないのですが、その家族の中で契約ですから、皆さんが同意しないと家族信託ができないのです。ですから家族みんなで話ができて、信頼しあえる家族だから使える制度で、家族に託す選択肢の一つになるかなと思っております。
以上で本日の家族わくわく信託というテーマでお話を進めてまいりました。遺言だけでは完璧には皆様の財産を守れないので、「家族信託」という契約も、ぜひ皆さんの中でお考えをいただきたいと思っております。不動産をお持ちの方はぜひ皆様の財産・資産を「塩漬け」にしないという、転ばぬ先の杖としてぜひ家族信託を利用していただければと思います。弊社村建地所もそういったご相談には真摯になって取り組んでまいりたいと思いますので、ぜひご相談宜しくお願いいたします。