「建物を貸している方」のための遺言書の書き方

菅野勝

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テーマ:遺言書作成

「建物を貸している方」のための遺言書の書き方



今回は、【遺言書の書き方講座 財産編 vol.5】として、『「建物を貸している方」のための遺言書の書き方』をご案内します。

遺言書を作成する皆様共通のメリットは、相続開始時に面倒な遺産分割協議書が不要となり、相続手続きを円滑に進められることです。

 遺言作成時に知っておきたいチェックポイントを解説します。


賃貸借契約関係の「敷金等」について


まず第一に、建物の借主との契約は、無償(使用貸借)で貸しているか、有償(賃貸借)で貸しているかによって遺言書の書き方が異なります。

 一般的に家族や親戚(親族)に自宅として貸している場合は、無償(使用貸借)として貸している場合が多く、敷金等の預り金が無い場合が多いと思われます。

 しかし、有償の賃貸借契約で第三者に貸している場合は、敷金、保証金等の金員があるか、あるとしてその取扱いはどうなっているか(返還を要するか、返還を要するとしてその返還額や返還時期はどうなっているか)を確認し、それを踏まえた遺言書にする必要があります。

 敷金等の返還を要する場合、当該建物を承継し、契約関係を引き継いだ相続人又は、受贈者は敷金等の返還する責任(債務)を負うことになります。

 このように賃貸借契約での敷金等の取扱いは、建物を引き継ぐ相続人又は受贈者が円滑に賃借人への責任を果たす上でも大切な内容になります。

 借主と取り交わした契約書を基に正確に遺言書に残し伝える必要があります。


建物を不動産管理会社に管理を委託している場合

建物を賃貸している場合、自らは建物を管理せず不動産会社に管理を委託している方も多いと思われます。

 その場合、賃貸借関係の情報を一番よく把握しているのは管理会社になります。

 委託している管理会社がどこなのか、管理会社の担当者は誰なのかを相続人又は受贈者に分かるようにしておく必要があります。

 その上で、管理内容(賃借人の募集だけなか、賃料の入出金や建物自体の清掃なども含まれるか)もあらためて確認し伝えておく必要があります。

 管理内容は、管理委託契約書や業務委託契約書などから確認することができます。

 建物の賃貸について何も知らないで建物を引き継いだ相続人、受贈者が、賃借人への対応等で戸惑わないように借主との賃貸借契約書同様、不動産管理会社との管理委託契約書も的確に引き継ぐことが大切です。

今回は、以上となります。

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菅野勝
専門家

菅野勝(行政書士)

まさる行政書士事務所

注文住宅の営業担当として31年間170棟の住まいづくりに携わって来ました。その豊富な経験、顧客対応力を生かし遺言相続、成年後見、外国人サポートを中心に相談者の暮らしに寄り添ったサポートを行います。

菅野勝プロは河北新報社が厳正なる審査をした登録専門家です

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