「配偶者に判断能力の衰えがある方」のための遺言書の書き方
「底地・借地権を所有している方」のための遺言書の書き方
今回は、【遺言書の書き方講座 財産編 vol.3】として、『「底地・借地権を所有している方」のための遺言書の書き方』をご案内します。
遺言書を作成する皆様共通のメリット・理由は、相続開始時に面倒な遺産分割協議書が不要となり、相続手続きを円滑に進められることです。遺言を作成しようと思った時に知っておきたいチェックポイントを解説します。
賃貸借契約書の有無
まず、地上権設定契約書又は賃貸借契約書があるかどうかの確認が必要です。
土地にかかる契約書については、契約期間が長期にわたるため、契約書が残存していない場合が多々あります。
特に、遺言書自身も不動産を相続で承継している場合などは、契約実態もよくわからないという場合もあります。
契約書がない場合には、借地権設定者(地主)に確認するのが最良といえます。
しかし、借地権設定者(地主)自体も世代交代をするなどして、契約内容を把握していない場合もあり得ます。
その場合は、過去の通帳における賃料の払込履歴などから地代の金額を確認することができます。
また、建物の登記事項のうちの建物の建築年月日から、借地権に係る契約の開始機関を判断することもできます。
契約書がない場合はこの際、地主との間で借地契約書を作り直すことも考える必要があります。
借地権を相続させる場合
借地権を相続させる場合には、地上権又は賃借権の目的となる土地を敷地とする建物も同一の相続人に承継させることになると思います。
条項例
第○条 遺言者は、遺言者の所有する次の建物及び借地権を、
妻A(昭和○年○月○日生)に相続させる。
1 建物
所在 ○○市○○町○丁目○番地○○
家屋番号 ○○番○○
種類 居宅
構造 木造瓦葺2階建
床面積 1階○○.○○平方メートル
2回○○.○○平方メートル
2 借地権
遺言者とB(昭和○年○月○日生、住所:○○県
○○市○○町○○)との間における次の土地を
目的とした平成○年○月○日付土地賃貸借契約
に基づく賃借権
所在 ○○市○○町○丁目
番地 ○○番○○
地目 宅地
地積 ○○.○○平方メートル
借地権の承継対象者
借地権のうち賃借権に関し、遺言によって借地権を承継させたい者が遺言者の相続人である場合は、借地権の承諾時に借地権設定者の承諾は必要ありません。
相続人以外の者に対して借地権を承継させたい場合、借地権の承諾時に借地権設定者の承諾が必要になります。この場合、承諾料が必要になります(民法612)。
この場合、承諾料の支払いが必要になります。
契約の相手方との間のトラブルの有無
借地権契約者の相手方との間にトラブルがないかも確認が必要です。
トラブルが多い場面として、
①地代の支払、金額
②借地権の範囲
③増改築、建替えに係る問題
④更新料に係る問題
などがあります。
過去に契約の相手方とのトラブルがあった場合、当該問題を次の世代へ引き継ぐことになります。
問題を解決出来ればよいのですが、出来ない様であれば、トラブルの内容や経緯などを証拠書類とともにまとめておく必要があります。
今回は、以上となります。