「相続人になる兄弟姉妹の判断能力に不安がある方」のための遺言書の書き方
「複数の不動産を所有している方」のための遺言書の書き方
今回は、【遺言書の書き方講座 財産編 vol.1】として、『「複数の不動産を所有している方」のための遺言書の書き方』をご案内します。
遺言書を作成する皆様共通のメリットは、相続開始時に面倒な遺産分割協議書が不要となり、相続手続きを円滑に進められることです。
遺言作成時に知っておきたいチェックポイントを解説します。
不動産を相続させたい場合にまず行うこと
不動産を多数所有しているにも拘らず、ご自身が所有している不動産のすべてを正確に把握していない方は多いのではないでしょうか?
例えば、いわゆる「代々の地主さん」などは、親族から相続によって多数の不動産を一度に承継することとになるため、自分でどのような不動産を所有しているのかを正確に認識していない方が多い可能性は十分に考えられます。
なので、まず不動産を相続させたい場合、対象となる不動産をもれなく正確にリストアップする必要があります。
このリストアップに漏れが生じると、資産の承継が思い通りにならないという事態になる恐れがあります。
所有不動産のリストアップ方法
所有不動産のリストアップ方法としては、固定資産税の納税通知書や土地建物課税台帳(一般的には「名寄帳」と呼ばれてます。)等を確認するにより行うことが出来ます。
固定資産税の納税通知書は、通例、毎年5月から6月にその年の1月1日現在の登記簿等に登記等されている者に送付されます。
しかし、固定資産税は市町村税なので、すべての不動産を網羅的に把握することできず、あくまで当該市町村に所在する不動産のみを確認するということになります。
なので、市町村が異なる場所に複数の不動産を所有している場合には、それぞれ市町村役場で土地建物課税台帳(名寄帳等)を取得してそれぞれ確認する必要があります。
また別の確認方法として、所有する不動産に抵当権又は根抵当権が設定されている場合、共同担保目録から所有不動産を調査することもできます。
所有不動産の乙区登記事項の末尾に「共同担保 目録(○)第○○号」と記載がある場合があります。これは対象不動産以外にも、当該抵当権を共同抵当権として抵当権が設定されている不動産が存在することを示しています。
通常、共同担保となる不動産は本人所有の不動産である可能性が高いと思われます。したがって、登記事項証明書を取得し、共同担保目録及び当該共同担保目録に記載されている不動産から所有不動産を確認することが出来ます。
そして、直近に相続で不動産を取得したような場合は、相続税の申告書も手掛かりになります。相続税の申告書には、当該被相続人が所有していた財産が網羅的に記載されているからです。
これらの所有不動産の確認方法を駆使して、まずご自身の正確な所有不動産をリストアップし、相続させたい不動産を特定することから遺言書を作成するための第一歩となります。
今回は、以上となります。