「財産を残したくない子供がいる方」のための遺言書の書き方
「法定相続人が一人もいない方」のための遺言書の書き方
今回は、【遺言書の書き方講座 家族編 vol.21】として、『「法定相続人が一人もいない方」のための遺言書の書き方』についてお伝えしたいと思います。
遺言書を作成する皆様共通のメリット・理由は、相続開始時に面倒な遺産分割協議書が不要となり、相続手続きを円滑に進められることです。
遺言を作成しようと思った時に知っておきたいチェックポイントを解説します。
「特別縁故者」に財産を残したい場合
法定相続人が誰もおらず、かつ、遺言を残さなかった場合には、相続財産は「国庫」に帰属することになります(民法959)。
しかし、「特別縁故者」がいる場合には、特別縁故者は家庭裁判所に対し請求することにより、相続財産の一部又は全部の分与を求めることができます(民法958の3)。
そこで、特別縁故者がいる場合には、あらかじめ「遺言」により特別縁故者に対し財産を残すことを検討するこが可能です。
「特別縁故者」とは、「被相続人と生計を同じくしていた者」、「被相続人の療養看護に努めた者」、その他「被相続人と特別の縁故があった者」をいいます(民法958の3参照)。
特別縁故者「以外の者」に対して財産を残したい場合
遺言者が希望すれば、特別縁故者「以外の者」に対しても、「遺言」により財産を残すことができます。
財産を残したい者は、「個人」に対してではなく、「団体」(例えば、お世話になった福祉団体など)に財産を残すこともできます。
条項例
第○条 遺言者は、遺言者の所有する次の土地及び建物並びに預貯金、
株式、動産その他一切の財産を、山田花子(昭和○年○月○日生、
住所:○○県○○市○○町○○)に遺贈する。
1 土地の表示 (省略)
2 建物の表示 (省略)
福祉団体等に財産を残す際の注意点
遺言により福祉団体等に特定の財産を残す場合には、その団体にどのような財産を残すのかに注意しなければなりません。
通常、福祉団体等が受け取ることができるのは「現金」又は「預貯金」だけです。
遺言によって残す財産が不動産や知的財産権などである場合には、福祉団体等はそのままの状態では受け取ることができません。
そこで、残したい財産が不動産や知的財産権などの場合には、当該不動産や知的財産権を「換価してから」、福祉団体等に引き渡すようにします。
そのため、財産を換価するために、その権限を持つ「遺言執行者の指定」をしておくことが望ましいでしょう。
条項例
第○条 遺言者は、遺言者の所有する次の土地及び建物を換価し、その換価金をもって、
遺言者の全債務及び遺言執行に関する必要な一切の費用を弁済した後の残金を
社会福祉法人A(代表者B、住所:○○県○○市○○町○○)に遺贈する。
1 土地の表示 (省略)
2 建物の表示 (省略)
第○条 遺言者は、遺言執行者として、次の者を指定する。
氏名 ○○○○
住所 ○○県○○市○○町○○
職業 ○○
生年月日 昭和○年○日
第○条 前条の遺言執行者は、第○条の不動産を換価、債務を弁済する権限を有する。
今回は、以上となります。