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「手前」と「前」から考える力

福田久稔

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テーマ:教育

先日、あるイベントで「手前にして」と声をかけたところ、「手前」に引くのではなく、「前」に押し出す子どもが続出しました。少し驚きましたが、思えば以前も、「10時5分前に集合」と伝えたときに、「9時55分に集まる」という意味なのか、「10時5分の前、つまり10時3分くらいに集まる」という意味なのかで話題になったことがありました。

また、最近あるお子さんが、学校のタブレットで本を読み上げさせて聞いていたと聞きました。読み上げ機能を見つけて使えるのはさすがですが、決して楽をしようとしているわけではありません。おそらく「考える」経験が少ないのです。動画を視れば答えがすぐわかることが多く、「どうしたらよいのだろう」と試行錯誤する機会が減っているのでしょう。

だからこそ、できるだけ自分の目で文字を読もうとすることが大切です。読み上げ機能を使うと耳からの情報だけになります。確かにラジオのように音声から想像力を育む面もありますが、自分の目で文字を追って読むことで、「見て・考えて・理解する」力が深まります。

「どうして読み上げ機能がついているのだろう?」と問いかけてみてください。そして、「視力が弱い人でもパソコンやタブレットを使いやすくするためにあるんだよ」と伝えれば、機能の本来の目的や多様な使い方への理解にもつながります。

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