データが盗まれるとは?
技術情報やノウハウ、あるいは知的所有権が流出してしまう、あるいはその恐れがある実例を私の経験から挙げてみます。
発生した実例と疑念
ある顧客から「現行の製品と同等品を作った場合の見積もりが欲しい」という依頼がありました。そして依頼と一緒に、現在その製品を製造しているメーカーの納入仕様書(紙のコピー+設計CADデータ)が添付されてきました。
CADデータを含めた詳細な納入仕様書で、目標見積額も記載されていました。これらの事前情報が提示されたことで、受ける側としては比較的楽な仕事になったのですが、これと同様のことが逆の立場としてされてしまうのでは、という懸念が生じました。
つまり、こちらから納入している製品についても、同様のことが行われていないか、提出した納入仕様書や設計データが他社に開示されていないか、ということです。恐らくされていると推されます。
※ 名の知れた大手企業であっても、コストダウン目的でこういったことが平然と行われていると
いう事実があります。道義的にも問題な行為だと思うのですが。
考えられる予防対策
防ぐには、どんな対策をとれるでしょうか。次の3つが有効と考えられます。
① 設計を引き受ける段階で、知的所有権の所在をはっきりさせ、文書化しておく。
② 知的所有権がこちらにある場合は、仕様書や設計資料・データを第三者に開示しないことを
契約書に盛り込む。
③ 要求されないことは、極力提示しない。納入仕様書にも要求されないことは掲載しない。
(例:要求のない図面は添付しない。要求のないCADデータは提出しない)
※ 受注する営業サイドにとっては、ハードルが高いことかもしれませんが、自社の財産である
技術情報やノウハウの流出を防ぐには大切なことだと思います。



