PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

住みよいまちづくりを目指して、空き家の管理と活用方法を提案

空き家管理・活用をトータルサポートするプロ

櫻田幸江

櫻田幸江 さくらださちえ
櫻田幸江 さくらださちえ

#chapter1

定期巡回を通して室内外の清掃や換気、修繕箇所の確認を行い、売却などもサポート

 少子化などを背景に、日本国内で空き家が増加。2018年総務省の調査によると、空き家は全国の住宅の13.6%を占め、過去最高に。同調査で三重県は15.6%と、全国平均を上回っています。

 「2013年に事実上財政破綻したアメリカ・ミシガン州のデトロイト市は、当時の空き家率が30%に迫っていました。30%を超えると自治体の資金繰りが悪化するなど、地域社会に大きな影響を与えると言われていますから、当方も危機感を持っています」

 そう語るのは、三重県桑名市に本部を置く「空家インターナショナル協会」の理事を務める櫻田幸江さん。海外赴任や転勤で一時的に引っ越すことになった、高齢者施設に入所することになったという人などから依頼を受け、住まいを管理しています。

 「定期的に巡回し、室内外の清掃、換気、ポスト投函物の回収と保存、悪臭などを遮るための排水トラップへの注水、要修繕箇所の確認を行います。当方は多くの地場企業と提携しており、建物に傷んだところがあれば修理業者を、庭木の枝が伸びすぎているようであれば造園会社を手配します」

 相続した実家の扱いに迷っている場合は、管理を任せながら、今後の方向性を固めていくことも可能。ニーズに合わせて、弁護士や税理士といった専門家も紹介しています。

 「ある方は、誰も住まなくなった実家をさら地にして手放すことを決断。解体費用は、物件を売却した分から賄いたいとご希望でしたので、不動産会社さんに入ってもらい、すぐに買い手を見つけました。解体費用を出しても売却益が残り、大変喜んでいただけました」

#chapter2

行政も含め、地元企業や士業者らの協力を得るため、空き家管理の一般社団法人を設立

 「空家インターナショナル協会」の母体となっているのは、建設業を営む「ロッセ」。東海三県を中心に、数多くの土木工事などを請け負っています。

 「土木の現場は天候が悪いとストップしてしまうため、代表は、休工の際もスタッフや協力会社さんができることはないかと、常々考えていました。ある時、空き家が日本の社会問題となっていく状況を知り、空き家事業を始めることとなりました。」

 企業や士業、行政も含めて広く協力してもらうために、一般社団法人を設立。同協会の空き家管理は、桑名市ふるさと納税の返礼品としても登録されています。

 もともとロッセで事務を担当していた櫻田さんは、協会設立時にその丁寧な仕事ぶりが買われて理事に就任しました。
 「2週間に1度のペースでお伺いするお宅が多いのですが、半月程度でも庭の雑草が生い茂っていることもあります。害虫が発生するなど近隣に迷惑をかけてしまうので、日頃のメンテナンスの重要性を実感しています。巡回後は、レポートをオーナーさんにお送りしているので、現状の把握が都度できると、評価をいただいております」

 中長期的な継続訪問のほか、必要に応じてスポットでも対応。以前、管理している家のガレージに違法駐車があったとか。
 「知人を通じてそのことを知ったオーナーさんから連絡をいただき、すぐに現地に赴き、対策を講じました。オーナーさんから感謝の言葉をいただきましたし、私もトラブルを防げてほっとしました」

櫻田幸江 さくらださちえ

#chapter3

子どもたちに暮らしやすい街を残すために、事業のフランチャイズ化も推進

 協会で培ってきた空き家管理のノウハウを、他の地域でも役立ててほしいと、櫻田さんらはフランチャイズ化を進めています。

 「加盟業者となるフランチャイジーには、実際に巡回に同行していただき、実務についてレクチャー。稼働後も分からないことがあればフォローします。当方では、エンジニアと組んで作業手順に関するアプリも開発し、提供しています。フローに沿って業務を行い、スマートフォンで記録写真を撮っていけば、簡単に報告レポートが作成できます」

 すでに三重県四日市市、いなべ市、愛知県名古屋市の3カ所で事業者が出店(2023年6月時点)。「空き家で困っている地域は全国各地にあるでしょう。興味のある企業さんは、ぜひお問い合わせください」と櫻田さん。空き家問題を解決していくことは、子どもたちのためになると力を込めます。

 「例えば、強風が吹いたら屋根瓦が飛んでしまうかもしれない。また、道路にはみ出た庭木の枝で見通しが悪く通行しにくい、そんな通学路を子どもたちに歩かせたいでしょうか?手入れの行き届かない廃屋が増えると、周囲の治安が悪化してしまう恐れもあります」

 空き家を適切に管理しながら活用方法を考えていくことは、次の世代に暮らしやすい街を残していくために欠かせないこと。
 「当方は、空き家のトータルサポートを目指しています。『親の家を引き継いだものの住む予定がない』『わが家を引き継ぐ者がいない』といった方は、当方にご相談ください」と呼び掛けます。

(取材年月:2023年6月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

櫻田幸江

空き家管理・活用をトータルサポートするプロ

櫻田幸江プロ

空き家管理・活用

一般社団法人空家インターナショナル協会

空き家を適正に管理しないと周囲に損害を与えるおそれがあります。また、「特定空き家」に指定されると、固定資産税が数倍に跳ね上がることも。空き家の管理・活用方法にお悩みの方は、ぜひご相談ください。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ三重に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または三重テレビ放送が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO