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相続用語の基礎知識 ~わかりにくい専門用語をわかりやすくご説明~

荻原卓司

荻原卓司

テーマ:相続

あっという間に8月も折り返し地点。
各地の台風の被害が心配です。
早く穏やかで涼しい秋が来てほしいものですね。

さて、今回のコラムでは、
「相続用語の基礎知識 ~わかりにくい専門用語をわかりやすくご説明~」
と題して、
わかりにくい相続に関する専門用語を
出来るだけ、わかりやすくご説明いたします。

1.相続とは?

まず「相続」のご説明をいたします。

実はこの用語の説明が結構難しいのです。

民法では
「被相続人の死亡時に、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」
ことをいいます。

そうすると、まず「被相続人」の用語の解説が必要になりますね。
このように、法律って、専門用語が多いので厄介なのであります。

2.被相続人とは?

相続の対象になる人を指します。
簡単にいえば「亡くなった人」です。

今の日本では、死亡しない限り、相続は生じません。
亡くなってから、亡くなった人の権利義務に関し、相続が開始します。
この亡くなった人のことを「被相続人」と呼ぶのであります。

なお、生きているうちに子供に財産を分けることは、
「相続」ではなく「贈与」になります。
生前に子供に財産を贈与することも、民法上は可能ですが、
相続税の税率をはるかに上回る贈与税が課せられますので、
贈与の前に税理士に相談されることをお勧めいたします。

3.相続人とは?

では、次に、相続人についてご説明いたします。
簡単にいえば、「相続する人」という意味です。

ただ、この相続人というのは二つの意味がございます。

(1)法定相続人

遺言がない場合に、法律上、相続人になる人のことを指します。

第1順位
・・・被相続人の配偶者と子(配偶者がいない場合は子のみ)
    被相続人の死亡時に子も死亡しており孫がいる場合、
孫も相続人になる(代襲相続)

第2順位(被相続人に子・孫がいない場合)
 ・・・被相続人の配偶者と父母(または祖父母)
    配偶者がいない場合は父母(または祖父母)のみ

第3順位(被相続人に子・孫も父母・祖父母もいない場合)
  ・・・被相続人の配偶者と兄弟姉妹
     配偶者がいない場合は兄弟姉妹のみ
     被相続人の死亡時に兄弟姉妹も死亡しており
兄弟姉妹の子がいる場合、
兄弟姉妹の子も相続人になる(代襲相続)

(2)実際の相続人
   法定相続人のうち相続放棄をしなかった者、
又は遺言がある場合に遺言で相続人に指定された者を指します。

ここで、また「相続放棄」という用語が出てきました。
この用語は最後の7で解説することにいたします。

4.法定相続分とは?

 法定相続分という用語もよく出てきます。
 正確な定義は難しいのですが、
 要は、「遺言がない場合、各相続人は、遺産のうち何分の1を取得できるか」ということです。

(1)第1順位の場合
   配偶者2分の1、子全員で2分の1を頭割り
   (配偶者がいない場合は子で頭割り。以下同様)
(2)第2順位の場合
   配偶者3分の2、父母(祖父母)3分の1を頭割り
(3)第3順位の場合
   配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1を頭割り   

5.遺留分とは

 法定相続分と違う、紛らわしい用語に「遺留分」があります。
 特に最近では遺言を作成する方が増えておりますので、遺留分が
 重要になってくることがあります。

 遺留分とは、簡単に言えば、
「遺言がある場合でも、各相続人が遺産のうち何分の1を取得できるか」ということです。
 ですので、遺言がない場合は、遺留分は問題にはなりません。

 遺留分は以下の通りです。

(1)第1順位の場合
   法定相続分(上記4記載)の2分の1
(2)第2順位の場合
   法定相続分(上記4記載)の2分の1
(3)第3順位の場合
   配偶者は法定相続分(上記4記載)の2分の1
兄弟姉妹には遺留分は認められていません。

6,相続の対象となる一切の権利義務とは?

 被相続人が持っている財産(現金、預金、不動産、有価証券など)と、
被相続人が支払わなければならない債務
(カードローン、住宅ローン、友人知人への借金)
の両方です。

最近は、高齢者の貧困が社会問題になっており、
借金を抱えたまま亡くなられる方も多いです。
そのような場合に、法定相続人が何もしないと、
借金も相続してしまうのです。

なお、民法上は、保険契約で受取人と指定されている者が受け取る
生命保険金は、相続財産には当たりません。
被相続人の権利義務ではなく、保険契約によって取得するからです。
ですので、他の相続人がいる場合でも、全額取得できます。
(ただ、相続税の課税対象にはなります)

7.相続放棄とは?

 法定相続人が、はじめから相続人にならないようにする手続きの
ことをいいます。

「放棄」という用語が使われているため
自分で勝手に放棄できると誤解されている方もおりますが、
相続を放棄するためには、
原則として被相続人の死亡後3か月以内に、相続放棄の申述を
家庭裁判所に行い、受理される必要があります。

この方法を行わない限り、相続放棄の手段はございません。

「え、それだったら、家庭裁判所への相続放棄の手続きをせずにいたら、
借金を相続するだけになってしまうこともあるのですか?」
→ はい、そうなります。
ですので、相続放棄手続きが重要になるのです。

かなり基本的な用語に絞った解説をしたつもりでしたが
思いのほか、長文になってしまいました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

オギ法律事務所では、相続に関する相談は30分無料で行っております。
「相続って専門用語が多くて難しいからよくわからない。
 今回のコラムを読んでもよくわからない」
「将来に向けてしっかり知識を付けて準備をしておきたい」
「相続のプロフェッショナルの方のアドバイスを受けたい」
「実は亡くなった方の相続人になってて悩んでいる」
などという方は、
是非、法律相談を行うことをお勧めいたします。

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荻原卓司
専門家

荻原卓司(弁護士)

オギ法律事務所

当事務所は、これまでの1000件以上の解決事例を踏まえ、弁護士の熱意と迅速な事務処理能力を活かし、特に住宅を残して借金を減額できる個人再生等の借金問題や交通事故の問題につき、力を入れております。

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