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税務署から死亡した親族の請求書が来た。今から相続放棄できる?

2022年3月14日

テーマ:相続

コラムカテゴリ:法律関連

皆様ご無沙汰しております。
コロナと、ウクライナ侵攻による悲しいニュースに
胸を痛めております。
両方とも、早く収まることを、心より願っております。
どうすれば戦争って終わるのかなあ、とも
つい考えてしまいます。

さて、今日は、
「死亡した親族の税金の請求書が来た。今から相続放棄できる?」
というテーマで、コラムを作成したいと思います。

民法上、借金・債務も、相続放棄しない限りは相続の対象になります。
また、相続人の範囲は、兄弟姉妹の子まで含まれます。
そうすると、疎遠にしている親族の場合、
税務署からの税金の請求で、初めて、その人が亡くなったことを
知ることすらあります。

また、死亡の事実は知っていたとしても、
「まさか税金を滞納するような人とは思わなかった」と
いう場合もございます。

このような場合、いつまで、相続放棄できるのでしょうか。

この点について、民法915条は
「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から
3か月以内に」
相続放棄をしなければ、単純承認をしたものとみなされてしまいます。

ですので、死亡後3か月たっているような場合、
この条文を見て、相続放棄をあきらめてしまう人も
もしかするといるかもしれません。

しかし、この条文は「死亡」したときから3か月とは書いていません。

「相続の開始があったことを知った時」から3か月以内です。

そして、この「相続の開始を知った時」というのは
著名な最高裁判決があります。

昭和59年4月27日最高裁判決は、おおよそ、
「相続人が、相続開始の原因たる事実、およびこれにより自己が法律上相続人となった事実を知った場合であっても、上記各事実を知った時から3ヶ月以内に限定承認、または相続放棄をしなかったのが、
 (1)被相続人に相続すべき積極及び消極の財産
    (以下「相続財産」といいます)
    が全く存在しないと信じたためであり、
 かつ、
 (2)様々な事情から、相続財産が存在しないと信ずるについて
    相当な理由があると認められるとき
には、熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時、または通常これを認識しうべき時から起算すべきものと解するのが相当である」
と判示しています。

ですので、死亡した親族の相続人となることを知って、3か月経過後に、
税務署から死亡した親族の請求書が来るなど、
消極の財産=借金・債務の存在を知った場合も
上記の(1)、(2)の要件を満たせば、
相続放棄ができるのです。

「3か月経ってしまった」と、自身で判断してあきらめてしまうよりも先に
まず、弁護士に相談されることを
お勧めいたします。

そして、基本的には、家庭裁判所に相続放棄の申述を行うことを
お勧めしております。
上記の要件(1)、(2)を満たすかは
裁判所によって判断が異なると思われますし、
認められなくても、損はないので、申述しておくことに越したことは
ないからです。
(逆に相続放棄の申述を家庭裁判所に行わなければ、
 どのような理由があろうと、相続を承認したことになってしまいます)

オギ法律事務所は、相続放棄を含め、
相続に関する相談を30分無料で実施しております。

また、相続放棄については、旧日弁連報酬基準を大幅に下回る、
一人当たり着手金33000円(報酬金0円。実費2000円~5000円程度)で
事件を受任させていただいております。

死亡した親族に関する税務署などからの請求書が来た方については
是非、法律相談にお越しいただくことを
お勧めいたします。
(Zoomなどでの相談も可能です)

この記事を書いたプロ

荻原卓司

借金問題・個人再生のプロ

荻原卓司(オギ法律事務所)

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