「訴状を受け取ったときに、やってはいけないこと」
皆様、お世話になっております。
オギ法律事務所の荻原です。
先日の京都の大雪、久しぶりに雪の怖さを感じました。
足元がつるつると滑って大変でした。
さて、今日は、先日の私的な学習会で発表したテーマである
「発信者情報開示請求」について
書いていきたいと思います。
インターネット社会の普及に伴い、
心無い人たちによる
匿名掲示板やSNS(ソーシャル・ネットワーク)への
名誉棄損やプライバシー侵害などの書き込みがなされることが増えてきました。
このような書き込みに対しては、
法律上、削除や損害賠償を請求することが出来ます。
しかし、いざ、法律上の請求を行おうとしても
相手方の氏名及び住所がわからなければ
原則として裁判所を通じた手続きを行うことが出来ません。
それでは、匿名または仮名で活動する者に対して
どのようにして氏名及び住所を調査すればいいのでしょうか。
そのための一つとして
裁判所を通じた「発信者情報開示請求」を行う方法が
ございます。
ここから、不正確な内容になるのは承知のうえで、わかりやすさを優先して
書いていきます。
また、令和4年10月1日に改正された各種法令を基に解説いたします。
インターネットを利用している者は、必ず
「IPアドレス」が一つ与えられています(割り当てられています)
「IPアドレス」とは
「210.123.22.32」などのように
数字で表記されます。
見たことがある方も多いかと思います。
この「IPアドレス」は、短期間(2~3か月間)であれば、
書き込みをした掲示板等のインターネットのサイトの事業者
(「コンテンツプロバイダ」といいます)
に残っている場合が多いです。
あるいは、Facebookやツイッターのように
書き込みのためにログインを必要とするサイトの場合、
初回の登録時に利用者が電話番号を登録している場合が多いです。
そこで、「IPアドレス」または電話番号を
裁判所の手続きを用いて
インターネットのサイトの事業者(コンテンツプロバイダ)に
開示を求めるのが
この「発信者情報開示請求」なのです。
「IPアドレス」がわかった場合は、
インターネット利用契約に基づきIPアドレスを割り当てている事業者
(Biglobeやniftyなど。アクセスプロバイダといいます)が
わかりますので、
その事業者に、同じくこの「発信者情報開示請求」の手続きを用いて
インターネット利用契約の契約者の住所・氏名の開示を求めます。
(詳細は省きますが、改正により、これらの2度の発信者情報開示請求が
相当迅速にできるようになりました)
その結果、書き込みを行った者が個人でインターネット利用契約を行っている場合は、
その個人の住所・氏名の情報が入手できることとなります。
もっとも、インターネットカフェや大学などで利用契約を行っている場合は
書き込みを行った者の個人の住所・氏名にはたどり着けない場合があります。
また、電話番号が判明した場合は
別途、「弁護士法第23条2に基づく照会」手続き
を用いて、電話の契約者の住所・氏名の情報が入手できます。
このように、発信者情報開示の手続きを用いて
書き込みを行った者の住所・氏名が明らかになれば、
その者に、削除請求や損害賠償請求を行うことが出来ます、。
ただ、この発信者情報開示請求は、裁判所を通じて行う手続きですので
要件も厳しめであり、
また弁護士費用もかなり高額になります。
発信者情報開示請求を検討されている方は、
法律相談の際に、事件の見通しや費用の見積もりをしっかりと聞いた上で
方針を決めることが重要だと思います。
オギ法律事務所は、
基本的には借金・交通事故・相続に関する業務を中心にしておりますが、
「発信者情報開示請求は難しいから相談もお断り」ということは
決してございません。
どんな分野であっても、どれだけ困難な事件であっても、
法律相談で、現在の法律に基づき、最善の解決方法を
相談者の方と一緒に考えていくこととしております。
ですので、もし、インターネットでの書き込み等に悩まれた方がございましたら、
法律相談(30分5500円)を行うことを
ご検討願えますと幸いです。