「訴状を受け取ったときに、やってはいけないこと」
新型コロナウイルスの影響が全く収まらない状況で、
どうしてもストレスを感じてしまいますよね。
何とか少しでも心と体を大事にしていきたいです。
さて、今日は、当職の業務に関するご報告をいたします。
1.(報告の概要)
2021年(令和3年)5月14日(金)、当職が提起していた、カルテのないC型肝炎国家賠償請求訴訟について、大阪地方裁判所で、国と和解が成立し、薬害肝炎救済特別措置法上の給付金を受領することができるようになりました。
2.(C型肝炎に基づく給付金制度の概要について)
詳細は以下のページをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/fivwakai/index.html
以前(おおよそ、平成2年ころまで)出産や手術での大量出血などの際に、止血のためにフィブリノゲン製剤・血液凝固 第Ⅸ因子製剤が投与されていました。しかし、これらの血液製剤にC型肝炎ウイルスが混入していたため、投与された方がC型肝炎ウイルスに感染してしまったのです。
弁護団の方々のご尽力の結果、被害の救済のため、C型肝炎救済特別措置法が平成20年1月16日に施行されました。
しかし、上記の特別措置法に基づく給付金が支給されるためには、訴訟を提起したうえで、上記の血液製剤の「投与」、「症状」、症状との「因果関係」が存在することを国が認めるか、裁判所が国に勧告を行い、あるいは裁判所の判決を勝ち取らなければなりません。
また、「投与」の事実を立証するための、最も有効な証拠はカルテ(診療録)ですが、ほとんどの医療機関でもうすでに保管期限が経過し、廃棄されてしまっています。
ですので、上記の「投与」の立証は極めて難しい状況です(直近も、2021年5月21日に、101名の請求をすべて棄却する判決が大阪地方裁判所で出されてしまいました)。
3.(当職が担当した事案)
本事案は、原告が昭和61年(1986年)の大量出血を伴う手術の際にフィブリノゲン製剤が投与され、その後C型肝炎を発症したものです。
カルテはすでに廃棄されていましたが、当時の医師の証言を得られることができ、また、症状に関する医学的主張などを粘り強く行った結果、国も、最終的には投与、症状、因果関係すべての事実を認め、和解を行うことができました。
平成29年11月の提訴日から長い年月を要しましたが、無事、原告の被害の救済が実現できることになり、当職としてもほっとしております。
4.(今回の訴訟で大事だと感じたこと)
当職は、弁護士業務の中でも、借金・交通事故・相続の業務を多く行っております。
逆に医療関係の訴訟は全く行ったことはなく、このC型肝炎の訴訟も初めてでした。
しかし、依頼者の方のお話を聞いて「これは私が行う!」と決めました。
そこから精一杯、様々な文献を調べ、医師の方にお話を聞きに行き、書面を書き、和解に向けて尽力いたしました。
その結果、今回の和解成立が実現できたと考えています。
ですので、この事件に取り組むことを決めたこと、そのことが、一番良かったことだと感じています。
弁護士も専門性が進む時代になるとも言われています。
しかし、私は、今回の結果を踏まえ、「これは本当に私が行うべき」と考えたことは、経験がないことや少ないことを理由に断ることは避け、今までの様々な事件の経験を活かし、全力で取り組み、いい結果を実現しよう、そしてなお一層経験と研鑽を積んでいこうと、改めて決意いたしました。
5.(最後に)
今後も、引き続き、フィブリノゲン製剤の投与によりC型肝炎に罹患された方の被害救済に努めていきたいと考えています