今週の小次郎
「AIを利用すればそれなりの準備書面ができあがる」「AIを利用すればメールの作成が自動化される」「AIを利用すれば証拠説明書も自動で作成してくれる」というような話をよく聞く。
もちろん、それをそのまま出すことはないのであろうが、自分で苦労して考えた書面でなければ、頭に定着していないのではないかと思うし、裁判の現場で議論する時に、裁判所などから疑問点を指摘された時に「いや、AIで書いたので、そこは考えていませんでした」とは言えまい。思考力も低下していく一方ではないだろうか。
事件に即して依頼者から聞いた事実や証拠を基に思考して、どういう主張で組み立てるか、どう反論するかを自分の頭で考えるのが、弁護士の業務の最たるものではないかと思う。
証拠説明書もそうで、証拠を見ながら立証趣旨等を自分で書くと、頭に定着するので、どういう証拠があったかが頭に入っていると思うのである。
尋問にまで行くような事件では、主張や証拠が頭に入っていないと、尋問事項や反対尋問も組み立てられないのではと思うし、そこをAIに考えてもらうと、尋問の現場で違う話が出てきた時に(陳述書と多少違う話が出てくるのは、尋問の場ではよくある)、対応できないのではと思っている。
少し前に、1万頁あるLINEを精査して不貞の証拠を抜き出したことがあったのだが、最初AIにやらせてみたところ、ウソばかり出てきた。
結局、年末年始にメンタルがやられそうになりながら、該当箇所を抜き出したのだが、結果的に一度丹念に読んだことで、どのあたりに何が書いてあるかをだいたい覚えているので、裁判の現場で、「その点、LINEにこれこれこういうことが書いてありましたね」などと議論することができて、事件の進展には役だった。
AIを利用することで学力が低下したというような報告もされているようであるし、AI万歳みたいな風潮は違うだろうと思っている。
多少とっかかりを探すために使用することはあるが、使用するのはそこまでで、後は文献等々で相変わらずうんうんといいながら調べている。
以上です。


