金岡弁護士退所のお知らせ
角川文庫。横溝正史。
横溝正史作品の中で、個人的には一番の作品と思っている長編である。
再読であるが、しばらく読んでいないと、かなり忘れている。
金田一耕助は、名探偵であるが、名探偵がいるのに殺人が次々に起こらないことには物語が進まないところが悲しいところである。
金田一耕助は、懐が温かい時もあれば、たばこ銭にすら事欠いて等々力警部にたばこを恵んでもらうことがあるような経済観念のない人である。
事件を解決することが彼の自己実現であるが、解決してしまうと極めて深刻に気分が落ち込んでしまう。
金田一耕助には女性の影もほとんどなく、数多くの事件を通じて、恋愛的感情を抱いたのは多分2回で、「獄門島」の鬼頭早苗に東京に一緒に来ないかと誘ったが断られ、女怪の持田虹子には深刻に思い詰めた気持ちを持っているがこちらは悲劇的な結末で終わる。
病院坂の首縊りの家を解決した後、彼はアメリカに渡り、その後の行方は知れないとされたが、2年後に日本に戻っているようである。
今も角川文庫で作品が読めるので、古典的推理小説の世界に浸ってみてはどうだろうか。



