弁護士が独立する際の考慮要素

中隆志

中隆志

 弁護士が独立する時の考慮要素を考えてみる。あくまで私の見方なので、一つの意見であることはお断りしておく。

1、なぜ独立がしたいのか。
 先日、ある会合で、「自分のやりたいことをするために独立した。お金にはならないが、それでいいと思っている。」ということを聞いた。
 素晴らしいと思った。
 私はせっかくの弁護士人生なので、独立して自分のやりたいようにしてみたいという思いがあった。
 パートナーとして残るという選択肢もあったのだが、いつまでもボスの事務所のままで、したいようにできないのでは意味がないと思ったのである。
 パートナーとして事務所に残ることでストレスがないなら、無理に独立する必要もないといえる。

2、どこで独立するか。
 私が独立した頃はまだ京都も実働の弁護士が少なかったのだが、現在は人口比で第3位に弁護士が多い地域であり、かつ、市内にほとんどの弁護士が集中していて、隣に大規模単位会である大阪があるという地理的条件となっており、今なら京都市内で独立しようとは思わないであろう。
 京都で独立するなら、弁護士の数が少ない地域を選択する。
 あるいは、京都では独立しないという選択肢もある。
 弁護士の数が少ない地域では仕事は相対的に多くなるのであり、これは経済的支援制度を利用されて独立された先生方が特に宣伝活動はしていないのに、たいていの方は相当多忙にされているというのを見ると、競合相手が少ない地域で独立するというのは合理的である。
 ただし、人口が減少していくということもあるので、人口減となってもある程度の人口がいる地域が理想である。

3、華美な事務所は要らない。
 複数で経費共同でやる場合は別として、最初は華美な内装品とかは不要だと思う。
 書籍も独立時に買い込む必要があったが、今は電子化された書籍を見ることのできるサービスがあるので、スリム化できるところはスリム化していいと思う。
 家賃は毎月かかるものなので、物件探しはこだわるべきである。目立つところに事務所があるからと言って、歩いている人がいきなり事務所に来ることはまずない。

4、この事件なら任せても大丈夫という分野をいくつか持てるとよい。
 小さな規模だと、少し頑張ればその分野の第一人者になれる可能性がある。
 東京や大阪である分野で著名となるのは難しいし、時間もかかるが、中規模・小規模単位会だと頑張ればこの分野ならあの人だとなりやすい。
 刑事事件、犯罪被害者支援、消費者被害救済等々である。

 書こうと思えばまだまだあるが、この程度としておく。

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