開業場所のマーケティング

中隆志

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 弁護士の人口に対する比率は、1位が東京、2位が大阪、3位が実は京都である。
 順位が高いほど、弁護士1人当たりの人口が少ないことになる。
 私の手元にある2020年版の弁護士白書では、東京が687人、大阪が1867人、京都が3177人である。
 一方、秋田は弁護士1人当たりの人口が1万2711人、岩手が1万2029人である。

 京都は人口比第3位の上、隣接して大阪という大規模単位会があるので、弁護士として独立してやっていくには不向きであることが分かる。
 実際、京都の事件でも相手方代理人は大阪ということが相当ある。
 特に京都市内に大半の弁護士がいるので、京都市内で開業するというのは、これからの時代選択肢として考えるのはどうなのかという気がする。

 私が登録した平成8年は、滋賀県の弁護士は40名程度で、破産管財事件が回らないということで、私も滋賀の管財事件を滋賀の裁判所から依頼されていた。当時京都の実働は200名程度であったが、今は900名近いはずである。
 現状、滋賀の弁護士は多分140人くらいで、今は滋賀の弁護士だけで管財事件を回せるほどになっていて、滋賀の裁判所から京都の弁護士への依頼はない。

 実際、地方の単位会では新規登録がゼロというところもあると聞いている。

 大きい事務所にずっといるという前提であれば東京、大阪、愛知の事務所に入所するというのもあり得る話であるが、大きい事務所はそれはそれで内部での競争がありそうで、見ていると、退所する弁護士も多いように思われる。
 将来的なことを考えると、弁護士が少ない地域で開業することを考えて、地方都市で登録するというのは選択肢としてあり得ると思っている。
 実際、日弁連の経済的支援制度(弁護士が少ない地域で開業する際、650万円又は350万円が無償で貸付てもらえる制度)を利用して開業された弁護士の話をここ7~8年聞いているが、事件は多数あり、断るのに心苦しいという話が大半である。

 合格した後、登録する場所を考える時、地方都市(京都は除く)や、過疎地域での開業を目指して、当該単位会で勤務弁護士として登録するという選択肢は十二分にあり得ると思うのだが、どうであろうか。

 

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