読書日記「百年の孤独」
裁判は通常それなりに時間がかかる。
訴えを出してから第1回期日が入るまでも1ヶ月半くらいかかることが多い。
被告にも言い分があることもあるから、被告が言い分を出してきたらそれに対して反論を出す必要もある。
こちらが反論を出すと、また相手の再反論ということになるのだが、書面を作成するにも相手の書面を読み込んで、依頼者と打合をし、証拠があれば証拠を整理して書面を完成させる必要がある。こうして弁護士の仕事は手作業なので、普通は1ヶ月くらいごとに日が入る。
裁判所の夏期休廷期間に当たると期日はだいぶ先になるし、4月で裁判官が交代すると新しい裁判官が記録を検討する為の時間も必要である。
依頼者は、どうして早く進まないのだということで苛立ちを示されることもあるが、裁判という制度上やむを得ないところがある。
上記の説明をしてご理解をいただくようにしている。
依頼者からすれば、完成した準備書面だけを見ているのだが、それを書き上げるのには相当な労力と時間もかかる。
多くの弁護士は、表現一つ一つまで気をつけて書いているのである。裁判例を資料で出すこともあるが、中には読んだけれど使えない裁判例もあり、取捨選択もしている。文献で調べていることもある。そのことも場合によれば説明する。
裁判なんてするんじゃなかった、他に方法がないのですかということを言われる人もいるが、「他に紛争解決の方法はないので裁判をしているのであり、いい解決の方法があれば依頼者には当然提案しますよ、でも方法がないから裁判をしているのですよ」ということで説明をしている。
私が弁護士になった30年ほど前よりは、ずいぶんこれでも民事訴訟も早くなったのであるが、紛争を早く終わらせたいお気持ちには寄り添うものの、相手もあることなので、こちらの思う通りには進まないところがありますと説明している。
たいていの弁護士は尽力しているし、不満には説明をするのだが、紛争が早く終わって欲しいと思うのは人情であろう。