読書日記「街とその不確かな壁」

中隆志

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 新潮社。村上春樹。

 著者の6年ぶりの長編新作である。
 村上春樹の全集などに著者の意向で一切入れられていない、「街と、その不確かな壁」のリメイクということである。
 40年前に書いた上記作品の出来が気に入らず、今回書き直したということであった。

 内容を書いてしまうと、これから読む人に申し訳ないので、内容に入らない私の感想など。あくまで個人の感想です。
 違う意見を持っている人、目くじらを立てないでくださいね。

 面白い。小説はそもそも面白いかどうかが大事であるので、素直に捉えると難しいことは色々とあるかもしれないが、面白い。
 読むのが速い方と思われる私であるが、小説であるためじっくり読んだので、読み終えるまで1週間くらいかかった。
 世界の終わりとハードボイルドワンダーランドと同じという意見も多いようであるが、私は別物と捉えている。
 「喪失」の物語で、最近の長編の傾向とはやや趣が異なる(40年前のリメイクであるから当たり前なのかもしれないが)。
 村上春樹は劣化したという意見も書かれているが、私はそうは思わない。

 村上春樹の年齢からして、長編がどれだけ刊行されるのか、短編もこれから出るのか分からないが、早速に次の作品が楽しみである。

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