相続財産清算人

中隆志

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 法律の真面目な話なので、興味のない方は読み飛ばしてもらいたい。

 令和3年に相続法がいくつか改正されており、令和5年4月1日に施行される部分がある。
 
 その中で一つ指摘すると、相続財産管理人が「相続財産清算人」と名称が変わった。
 他にも民法では「管理人」という言葉が出てくるのだが、相続財産を換価して債権者などに弁済をして、余剰があれば国庫に帰属させるという役割を持っていることから、相続財産法人を清算するという意味合いで、名称が変わったようである。

 では、名称が変わっただけかというと、手続がかなり簡略化された。

 すなわち、改正前の民法では、相続財産に対して債権を有しているものがいる場合、一度債権があることを申し出るように公告する必要があり、これは改正後も基本的には変わらない。稀に、金融機関が貸付があるということで申出があることもある。
 相続権がいる人がいると大変なので、当初と最後に、「相続権があるものがいる場合には半年間の間に申し出るように」との公告をするのだが、改正前では、2回目の相続人に対する公告期間が経過するまでは、「実は債権がありました」と言っても権利行使できることとされていた。
 これは実は相続財産管理人にとっては非常に面倒で、最終場面で債権の有無等について調査をする必要が生じるので、その調査に時間がかかることもあった。
 また、2回目の相続人の公告も、そこで「自分に相続権がある」という申出がされたことのある相続財産管理人はいないのではなかろうかと思われるし、実際に私もそのような経験はない。

 そこで、改正後は、最初に相続人捜索の公告をして(期間は半年)、その後、その期間内に債権者がいれば申し出るように公告をし、その期間が経過したら債権者は権利行使できなくなったし、相続権があることも主張できなくなった。
 そのことから、これまで相当期間が必要であった相続財産法人の清算が最短半年で終わることができるようになり、これは、実務的には非常に影響がある改正であると思い、掲載した次第である。

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