勇気一つを友にして

中隆志

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 小学校の頃、授業が終わっても特にすることがなかったので(塾も通っていなかった)、校庭が開放されていたことからギリギリまでドッジボールをして残っていた。
 もう帰らないといけない時に、校庭に大音量でギリシャ神話のイカロスをモチーフにした表題の歌がかかるので、これを聞くと「もう帰らないといけないな」と思って帰宅したものである。
 ロウの羽で太陽に向かい飛んで行き、太陽の熱でロウが溶けてイカロスは墜ちて死んでしまうという何とも暗い歌なのだが、曲調も切なく、なんとなく怖い気持ちになり帰り支度をしたものである。

 
 私は習い事をしても続かなかったし、私学に通えるような家でもなかったので地元の公立中学に行く予定であったので塾にも通っていなかった。なので暇であったから、そういう同級生とギリギリまで遊んでいた。
 あの頃、塾に通って私立の中学校に行った同級生は今頃どうしているのであろう。

 最近の小学生は習い事や塾などに行くし、先生も管理が大変であろうから、放課後に校庭を解放するというようなこともないのであろうと思う。コロナで余計にそういう傾向に拍車がかかったであろうか。
 私の自宅の隣は公園で、小学生くらいの子どもが公園で暴れているのを見ると、うるさいのはうるさいのだが、「子どもはこうでないといけないな」という気持ちにもさせられる。
 「世界のニュースを日本人は何も知らない」という新書によれば、世界に目を向けると、子どもだけで外で遊べたり、1人で塾に行くことができたり、学校に集団登校で通えたりというのは珍しいということであり、諸外国ではそんな状態であると子どもはさらわれたり、殺されたり、性被害に遭う国が多いということである(イギリスなどでもそうだという)。
 そういう意味で日本は平和だと思うが、最近の凶悪犯罪を見ていると、そうとばかりも言えないようになってくるのではと思い、暗い気持ちにさせられている今日この頃である。

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