読書日記「百年の孤独」
たまには法律の話。
民法第321条は、「動産の売買の先取特権は、動産の代価及びその利息に関し、その動産について存在する。」と定めており、物上代位について定めている同法第304条は、「先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。」と定めている。
この動産売買先取特権は、破産法や民事再生法でも別除権(破産手続や再生手続によらず行使できる権利)として定められていることから、債務者が破産していても当該手続とは無関係に行使できる。
動産が既に転売されている場合には、債務者が第三債務者に対して有している売掛金に対しても行使(代位)できるので、動産を売買し、その売買代金の弁済期が到来している場合には、訴訟をすることなく、いきなり民事執行をすることができ、先取特権の物上代位権の行使として第三債務者に対する債権を差押できるのである。
過去に破産管財人に就任したところ、動産売買先取特権を行使されて売掛金を差押されたケースがあり(これはやむを得ない)、債務者が民事再生手続に入った際に私の事務所で第三債務者の売掛金を回収したケースがある。
意外に使えるのが先取特権である。
非常にマニアックであるが、倒産時における担保の取扱に関しては、「倒産と担保・保証(第2版)」(商事法務 「倒産と担保・保証」実務研究会編)が参考となる。