任意保険の重要性

中隆志

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 交通事故の被害者側の事件を一定数担当していると、たまに加害車両が自賠責保険しかかけられていない事案に遭遇する。
 被害者からすれば、自賠責だけでは被害額の満足が得られることは少ないので、このような事案の場合には、何とか賠償金を回収できないか検討する。ただ、類型的に任意保険をかけていない人物は資力もないことも多い。

 出勤・退勤途上・業務中の事故であれば労災を使う。
 加害車両の使用者が運転者と異なっている場合にはその人物に資力がないか検討する。
 加害車両が業務中ではないのか、あるいは、勤務している会社がマイカー通勤を認めていたかどうかを調べる(一定の場合には運行共有者として、人身部分につき賠償責任が認められる。)。
 それでもどうしようもない時には、被害者自身の保険で無保険車特約がないかどうかを検討する。
 任意保険がかけられていない場合には、自身の保険で賠償が得られるというものである。
 それもない場合には人身傷害保険(自分の保険から一定額の支払いを受ける)で対応するしかないが、被害者側の保険で特約がないこともある。
 任意保険をかけていない加害者が悪いのだが、そういう事故も一定程度あるということを前提に、人身傷害保険や無保険車特約をかけておくしかない。
 自動車に乗らない歩行者の場合、自身でそうした場合の保険に加入しておいた方がよいであろう。

 任意保険は重要であり、任意保険なしで自動車を運転するのは極めて危険な行為であるということを認識してもらいたいものである。

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