読書日記「百年の孤独」
新潮文庫。吉村昭。
日露戦争は日本優位に戦争は進んでおり、日本海海戦は戦史上例を見ない日本の大勝で終わった。
しかし、日本の戦費は当初の想定を超えており、満州にはロシア陸軍が次々と戦力を強化していた。
このまま戦争が続けば、日本はじり貧となることは目に見えている一方で、ロシア国内でも暴動が起きるなど戦争継続に赤信号がともされていた。
このような状況下、アメリカのルーズベルトのあっせんでポーツマスで講和会議が開催される。
国内では多額の賠償金の支払いを求めたり、領土の大幅の割譲を求める声、戦争継続の声が叫ばれる中、国民の期待通りには行かない講和会議に外相小村寿太郎が全権使節として臨むことになる。
講和会議に至る経過と日本の上層部の苦悩、講和会議での息を呑むような小村寿太郎のやりとりなど、非常に興味深い内容である。
講和会議は、日本からすると相当譲歩した内容で終わることとなる。
そこことから、講和会議に出立する前と、帰国した後の小村寿太郎に対する国民の態度は一変した。
吉村昭の事実を積み重ねる筆致が冴え渡る。
クリミア戦争史を読んだので、さらにロシアを知るべく、このポーツマスの旗も大分前に購入していたのを読んだ。
読む価値のある一冊である。