読書日記「百年の孤独」
新潮文庫。坂口安吾。
中学生か高校生の時に読んだような気がするのだが、すっかり忘れている上、人生50年を生きてきて感じ方も違うであろうと思い、少し前に購入して最近読んだ。
安吾の堕落論を具体的に小説に落としたもののようである。
随所に安吾の人生についての考え方が書かれている。
日本人が徳としてきた道徳観念を否定し、壊し、敢えて人生の落伍者のように生きて行く主人公の様を見て、何を思うかは人それぞれである。
そうした生き方はすべきではないが、そうした生き方しかできない人がおり、そうした人も日々を生きているから、そうした人に対する著者の温かい目があるのだという捉え方もできるようにも思われ、既存の生き方に対して激越な考え方をぶつけて旧態依然の固定観念を破壊しようとした作品であるということもできるであろうか。
評論家でもない下手な文学読みなので、深読みはできないが、「青鬼の褌を洗う女」が私は一番のお気に入りである。