読書日記「百年の孤独」
先週に契約書がない事件のことを書いたが、逆に相手の方に契約書があり、その契約の内容と異なる事実がある場合には、「書いたもの」が優先して勝てないのかということもまた問題である。
これは、勝てないこともないというのが答えとなる。
公正証書でお金を借りたことになっている事件では、そもそも「お金を借りていない」ことを証明して、債権が存在しないことを立証すれば勝てる(請求異議訴訟という。)。現実にそれで勝訴した事案もある。
もちろん、主張立証は簡単ではないが、えてしてこのような事案の場合、相手方は公正証書を作成しているから、無効になどならないという思い込みがあり、きちんとした主張立証ができないことが多い。
借りてもいないのに借用書を書かされていた事例でも数件勝訴事例がある。
ほかでは、書いたものがあることから、生の事実と離れて、書いたものをベースにして事実経過を組み立てようとする弁護士がいる。
しかし、こういう場合、どうしても生の事実経過からするとそうした書面がおかしいということになる。
依頼者が前任の弁護士を解任されて話を聞くと、「いくら生の事実を説明しても、契約書と合わないとして聞いてくれず、勝手な主張を繰り返していた」という事例もあった。
いくら契約を示す書類があったとしても、そもそもそのような事実がない場合には、主張立証次第では勝つことができるのである。
もちろん、毎回うまくいくという訳ではないが。