読書日記「百年の孤独」
契約書などの書類がなければ契約の事実は認められないか、という問題であるが、一言でいうと、そんなことはないということになる。
契約は口頭でも成立するし、明確な話がなくとも、たとえば親子間で親の所有する土地上に子名義の建物を建てていたら無償で使用させるという合意があったと認められる。
ただ、口頭での契約は、場合によれば証明が難しい。
裁判官の中には、契約書がないことをもって事実が認められないという方向での認定をするタイプがいることも事実であるが、積み重ねた事実から、周辺にこれだけの事実があるのであれば、合意があったと認められると認定するのが正しいあり方である。ただ、書面がない事件では、合意がなければしていないはずの行動や事実を積み重ねることで合意があったことを浮き彫りにしていかざるを得ないので、弁護士としても気を遣う事件ということになる。
書面があればよいのだが、書面がない事件で、依頼者から事実を聴取し、周辺の証拠を積み重ねて勝訴できた時は充実感があるものである。
時には立証が届かず負けることも当然あるのだが、大手企業同士であったり、大手企業を顧客にしている弁護士にはない苦労である。