在りし日の小次郎
小学館文庫。スティーナ・ジャクソン。
最近北欧のミステリーがたくさん日本で翻訳が出ているが、これもその一つ。
主人公がバス停に送っていった娘が忽然と消えた。父親である主人公は、何もかも投げ打って、睡眠時間を削り、娘が消えた道を少しずつ少しずつ自動車で探していく。
娘はどこに行ったのか?
もう1人の主人公である女子高生の物語と、別の17歳の女性が消えた時、二つの物語は大き動き出す。
失踪している人物がいる物語は、失踪した人物がどうなったのかについて、終盤まで読み手を惹きつけられるかどうかにかかっている。
横溝正史の作品にもそうした主題の話がいくつかある。
今のところ最高傑作は桐野夏生の「柔らかな頬」だと思っているが、これも面白かった。
これから読書の秋なので、知識とならないという意味では人生の糧にはならないかもしれないが、面白い一冊である。