在りし日の小次郎
スイッチパフブリッシング。岸本佐知子。
翻訳家であり、エッセイストである著者の最新エッセイ集。
読書や知識が偏っているため知らなかったが、著者が翻訳したから読むという、著者の翻訳には根強いファンがいるということであった。
そのうち読んでみたい。
また、エッセイストとしても高い評価を受けていることを初めて知った。
このエッセイを読んで、正直打ちのめされた。
というのは、私がどれだけ文章を勉強しても、筆者のような表現や感覚は持てないであろうと思ったからである。
文筆業ではないが、方向性は異なるものの、書面で裁判所に伝えるという仕事も弁護士の重要な仕事であるし、平均的日本人よりはきっと本を読んでいるはずだが、筆者の表現や空気感、その感覚は、私のたどり着けるところではないと感じたのである。
それは、単に性差の問題だけではない気がする。
内容はネタバレとなるので書かないが、興味のある人は是非一読をお勧めする。
ただし、どうやったらこんな感覚を持てるのか、どうやったらこんな表現ができるのかと、打ちのめされる可能性があります。