在りし日の小次郎
同時廃止や個人再生の申立の手を抜いている弁護士がいる。
もちろん、私も事務局の方で相当な部分はやってもらうが、最終的にはこちらの方でチェックして、家計票なども資料と照合する。破産に至る経緯は私の方で書く。再生についてもチェックはする。
同時廃止で申立てたものが、裁判所によって管財事件となることがある。
申立代理人が補正をきちんとしておれば、あるいは、当該事件の問題点に気づいて、申立代理人の方で相応の対応をしていれば管財とならなかったであろう案件が散見される。
管財となれば予納金も必要なので、依頼者に経済的な負担がかかる。
再生でも同様で、申立代理人の方で適正な申立をしていれば、個人再生委員が選任されることもなく、予納金がかかることもなかったのである。
管財人や個人再生委員に就任すると、そうした申立代理人の手抜きが見えてくるから、当該弁護士の私の中での評価の低下にもつながる。
また、何よりも裁判所はそうした申立をする弁護士を信用しなくなるであろうから、裁判所から管財事件なども回ってこなくなるであろう。
例として負債整理事件をあげたのだが、事件はどんな事件でも一つ一つが個別であり、手を抜かず、依頼者のために何ができるかを最大限考えないといけないと思うのである。
少なくとも、私は元ボスの姿からそう教えられた。私の元ボスは、着手金が5万円の事件も、100万円の事件でも、全件脂汗を垂らすように調べて、考え抜いておられた。私もそうありたいと願っている。
一山いくらのような事件の受け方をしていれば、そのうちそうした弁護士は身を滅ぼすように思えてならない今日この頃である。