在りし日の小次郎
電車の中の吊り広告を見ていると、時刻表絶賛発売中というものがあった。
これだけインターネットが普及すると、時刻表は一部の電車マニアくらいしか買わないのではないであろうか。
私も出張があるときは、乗換案内のインターネットサイトから調べている。
勤務弁護士時代は全国津々浦々の裁判所に出張が多かったが、当時はインターネットサイトで調べることができなかったため、毎月時刻表を事務所で買っていた。
自分で経路を調べて、JTBにファックスをすると飛行機のチケットを持参してくれていた。
今は飛行機もチケットレスで、新幹線もICカードで乗ることができる。
25年経つと隔世の感がある。
時刻表でしか調べられないと、裁判所に行くのにも無用の遠回りをしていたこともあった。
前にも書いたかと思うが、青森の五所川原支部に行くことになったが、元々行くはずだった兄弁から、「いったん青森駅まで空港からバスで出て、そこから電車で五能線という単線で行くんや」と説明を受けたので、何回かその経路で行っていた。
五能線は、電車好きにはたまらない鉄道路線ということであった(私は残念なことに乗り物には興味が今も昔もない)。
しかし、一度バスに乗り遅れたので、やむなく青森駅までタクシーで行こうとしたところ、運転手さんにどこまで行くのかと聞かれて、「五所川原の裁判所まで」と言ったところ、「お客さん、五所川原ならタクシーで空港から30分強ですよ。青森駅に行くより近い」と言われ、それからはタクシーで行くことにした。思い込みは怖いのである。地図で見たところ、確かに近かった。
少し前に、日弁連の公設事務所・法律相談センター委員会の委員長として五所川原に行くことがあり、そのときもタクシーで移動した。
青森の先生方からは、「五所川原は初めてでしょう。」と言われたものの、期待を裏切り、若い頃1年半通ったので、何回も来ていたのであった。
今となっては、時刻表をめくりめくりして、少しでも短時間で帰ることができる経路を探していたのが懐かしいとも思ったのである。
以上です。