裁判事情

中隆志

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 裁判所が緊急事態宣言を受けて、ほぼ全ての裁判期日を取り消したあと、ボチボチと変更後の裁判期日が入り出している。
 京都地裁では例年通りのように夏期休廷は取らないものの、一部期間は裁判体によって事実上期日を入れない期間はある模様である。

 京都以外の大阪や神戸のように感染者が多かった地域では、電話会議を利用して手続を進めようとしている。
 
 大阪高裁については、2月に控訴した期日の第1回の調整がまだ来ないような状況である。
 一度電話会議による和解協議期日を入れたいという打診はあったが、交通事故の死亡案件で、被害感情からして和解はあり得ないので、これを断ったところ、その後何の連絡もない状態である。
 他の控訴した事件でも期日は入らず、事実上の進行協議が電話で入っている。

 こうした状況では、現在提訴している裁判が次々に入るので、裁判が滞留することは間違いないと思うのだが、裁判所としては密を避けるためにできるだけ裁判所に来ないで欲しいというのが実際のところのようである。
 緊急事態宣言中、裁判官は記録をしっかり読み込んでいたのかと思っていたら、再開後も事件を全く理解しておらず、記録を読んでいないことが判明した事件もあった。裁判所に出て来られないので、記録も読めなかったのかもしれない。

 弁護士会が緊急事態宣言中に法律相談業務を中止した地域があり、その際にどこかの新聞が「今こそ弁護士会の出番ではないか」と叩いたことがあったが、困った状態で、全世界的にも流行はむしろ加速しているし、これを書いている時点で東京は2日連続100人を超える感染者が出ていて、早くワクチンが開発されることを祈るばかりである。

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