ひまわり基金法律事務所開設20周年に当たって(会長談話)

中隆志

中隆志

 私が委員長を務める日弁連の公設事務所・法律相談センター委員会が所管するひまわり基金に関して、6月12日、会長談話が発表されました。
 今後も私としても、弁護士過疎・偏在対策に取り組んでいく所存です。
 以下に会長談話を掲載します。

【以下、会長談話】
 当連合会の弁護士過疎・偏在対策の取組により、「日弁連ひまわり基金」に基づく全国初のひまわり基金法律事務所が開設されてから、本日で20年が経過する。


当連合会は、全国どこでも身近なところに弁護士が存在し、市民が迅速かつ適切な権利の実現を得られるような体制を整備することを目標として、1996年の定期総会で採択した「名古屋宣言」において、弁護士過疎・偏在を解消するために全力を挙げて取り組む決意であることを内外に明らかにした。そして、1999年に、全会員の特別会費を原資とする「日弁連ひまわり基金」を創設し、2000年6月の島根県浜田市を皮切りに、全国各地の弁護士過疎地域にひまわり基金法律事務所を設置してきた。


あわせて、当連合会は、各弁護士会が弁護士過疎地域に設置する法律相談センターの費用援助や、弁護士過疎・偏在地域に赴任する弁護士の養成及び支援、弁護士偏在解消対策地区に独立開業する弁護士に対する経済的支援により、弁護士過疎・偏在地域における相談体制の構築や弁護士の常駐支援に取り組んできた。


この結果、2019年度に同基金から援助を行った過疎地型法律相談センターは137か所となり、また、2020年6月1日現在、ひまわり基金法律事務所は累計120か所に設置され、経済的支援を受けて独立開業した法律事務所は累計で168か所にのぼる。


これらの取組によって、地方裁判所支部管轄単位における「弁護士ゼロワン地域」も大幅に減少し、2000年4月時点では71か所であったものが、2020年6月1日現在、弁護士ゼロ地域はなく、ワン地域は2か所に減少した。


このことは、全国各地の弁護士、弁護士会、弁護士会連合会とともに、当連合会が弁護士過疎地域の解消に取り組んできた成果である。


もっとも、司法過疎の解消のためには、単に「弁護士ゼロワン地域」を解消するだけでなく、弁護士へのアクセスを更に容易にする幅広い取組が必要であるが、それにとどまらず、裁判官・検察官の増員による非常駐支部の解消、裁判所・検察庁支部の機能強化、法律扶助予算の増額等、「国民の裁判を受ける権利の実質的な保障」という国の責務に基づく司法基盤の整備の推進が強く求められるところである。


当連合会は、国の責務に基づく司法基盤の整備の推進を強く求めるとともに、国や地方自治体、さらには法テラスなど関係諸機関との協力・連携のもとに、全国津々浦々の市民の司法へのアクセスを容易にし、あまねく「法の支配」をゆきわたらせるため、引き続き、弁護士過疎・偏在地域の解消に全力を挙げて取り組む決意であることを、ここに改めて表明するものである。



 2020年(令和2年)6月12日

日本弁護士連合会
会長 荒   中

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