寒波到来
裁判の迅速化に関する法律というものがあり、一審は2年以内のできるだけ短い期間に終わらないといけないとされている。
聞いたところでは、2年が経過すると、最高裁から毎回の期日の進行について、報告を求められるそうである(最高裁は2年に一度検証の報告を出すので、そのための資料とされると考えられる。)。
私の事務所でも訴訟提起から2年を過ぎて一審が終わっていない事件というものはある。
私の方はすべき準備はしているのであるが、原因としては、相手方代理人がなかなか準備をしないというもの、裁判官が期日で記録を読んでおらず、いつまでも整理しないので、争点が明確とならないもの、事案が複雑で専門的知識も必要なため、専門家の意見を聞く必用があるものなど事件によっていろいろである。
相手方代理人がなかなか準備をしないというのは裁判所も困るであろうし、私も困る。こればかりはどうしようもない。
しかし、なかなか、裁判官も、「次で主張は打ち切る」という訳にもいかないのが実際のところで、長期にわたり解決ができなくなる。
準備はしているが、前の主張とどこが違うのか理解するまで時間がかかるパターンもある(そして期日当日に出されたりして空転する。)。
当事者が困った人で、代理人が次々解任されるパターンもある。
裁判官が記録を読んでおらず、事案を整理するといって、記録を読んだら、数回後の期日で「双方これをしてもらいたい」と言うことを繰り返して、その後転勤してしまったという例もある。
昔は家裁では審判が出る日は決めなくてよかったので、審判が出ないまま2年以上経過して転勤してしまったという例もある。
事案複雑で専門的知識が必要というものは、ある意味時間がかかっても仕方がないので、これはまあ事件類型による未済なので、これは問題がないであろう(医療過誤などが典型である。)。
未済案件が多数ある係に転勤してきた裁判官は大変だとは思うが、いくら担当裁判官が頑張っても和解できない場合もあるので(たまにものすごく強引な和解進行をされることがあるが、無理なものは無理である。)、判決すべきものは判決で落としていくしかなく、強引な和解をしているとよけいに未済の期間が長くなる。
昔、そういえば、管財事件で超・長期未済事件があり、管財人が解任されて私が管財人となり、半年くらいで終了したことがあった。
管財事件は、長いことかかって配当がほんの少し増えるよりも、ある程度ナタをふるって解決して早く配当する方が債権者もありがたいであろう。これは裁判所にも感謝されたことを覚えている。申立代理人で、管財人がいつまでも処理してくれず、困った事案もあった。
迅速化はある程度は必要であるが、それも事案によりけりというところか。
どの世界でも尻拭いをさせられる人はいるのだが、長期未済がたくさんある係に転勤してきて別の裁判官の尻拭いをさせられる裁判官は本当にお気の毒であるが、だからと言って焦っても事件は終わらないので、コツコツとしていくしかないであろう。